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『ザ・フラッシュ』は本質的に一見さんお断り

(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c) & TM DC
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さらに観客が戸惑ってしまうのが、この「ユニバース」の流れとは別に、DCキャラクターの映画作品が盛んに作られていることだ。

大ヒットした『ジョーカー』は、続編も含めて「ジョーカーシリーズ」と呼ばれ、 マット・リーブス監督の『ザ・バットマン』も「バットバース」として派生作品が作られる予定。これらの映画群は「DCエルスワールズ」として拡大していく予定だという。

『ザ・フラッシュ』は、DC映画のクロスオーバー×シェアードユニバース×マルチバース×タイムリープ×現実の映画ネタという、複数のカルチャーの掛け算から成っているので、本質的に一見さんお断り映画。そもそもヒットするのは難しかったのかもしれない。

さらに『ザ・フラッシュ』は、DCユニバースの再スタート作品と喧伝されてはいるが、実際には過去のDC作品を無理やりまとめたフェイズ最終作でもある。

設定を変えたり、やり直したり、それでも過去の伏線を回収して、なんとか次に繋げようとする物語を、今後もその役を演じるのかどうかわからない役者たちが演じる。

さらにマルチバース化して、ユニバースに属さない過去のDC映画を引っ張り出してきたりしているので、設定自体がスパゲッティ化しているのである。

『ザ・フラッシュ』という作品に課せられていたのは、これまでのDC映画の栄光と負債を背負いつつ、やれることをやり、未来へとつなぐ責任を担うこと。

これは偶然にも『ザ・フラッシュ』の物語が持つテーマと似ている。様々な思惑と現実に振り回されながらも「プロの仕事」を全うしたと考えれば、“フランチャイズ映画のひとつの到達点”という評価は揺るがないだろう。

(文・灸 怜太)

【作品情報】
監督:アンディ・ムスキエティ(『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)) 出演:エズラ・ミラー/ベン・アフレック/マイケル・キートン/サッシャ・カジェ/マイケル・シャノン
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved © & TM DC
公式サイト:flash-movie.jp

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