映画と原作の邂逅に注目―配役の魅力
本作には、作中の設定同様スコットランド出身の俳優が多数キャスティングされている。
まずは主演のユアン・マクレガーから。スコットランドの都市パースに生まれた彼は、高校を退学後ロンドンの演劇学校に入学。1992年にテレビドラマ『カラーに口紅を』の主役に抜擢され、映像デビューを果たす。
その後、ダニーの初監督作品『シャロウ・グレイブ』(1994)に出演。そして、青春の焦燥感と怯えを凝縮した本作の演技で一気にスターダムにのし上がり、イギリスの映画賞を総なめすることになる。
ベグビー役のロバート・カーライルもスコットランドのグラスゴー出身だ。1995年に放送されたBBCのドラマ『マクベス巡査』の主役ですでにイギリス中で知られていた彼だが、国際的に注目されるきっかけとなったのはやはり本作。『ドラえもん』のジャイアンさながらの暴力的な演技は、本作のスパイスとなっている。
また、スパッド役のユエン・ブレムナ―とダイアン役のケリー・マクドナルドもスコットランド出身だ。特にダイアン役のケリーは当時バーのウェイターとして働いており、本作をきっかけに大きく飛躍。コーエン兄弟監督作品の『ノーカントリー』(2007)では、英国アカデミー賞助演女優賞にノミネートされている。
なお、本作には、原作者であるアーヴィン・ウェルシュが、レントンにアヘン座薬を渡す「マイキー・フォレスター」という役名つきのキャラクターを演じている。原作が、ウェルシュの半自伝的小説であり、彼自身がレントンのモデルになっていることを考えると、このシーンは映画のレントンと原作のレントンとの邂逅シーンといえるかもしれない。