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2Dと3Dを組み合わせて残虐なストーリーを語る

©︎2022 Unicorn Wars
©︎2022 Unicorn Wars

 企画・制作期間に6年を要し 250人以上の精鋭スタッフが、 50体ものキャラクターと 1500もの背景によって作り上げた、2Dと3Dアニメーションが融合。音楽も巧みに駆使して、シチュエーションやキャラクターともシンクロさせながら、その残虐なストーリーとともに、芸術性に溢れる作品に仕上げている。

 本作のキャラクターのかわいい見た目からは、子ども向けアニメと思われがちだが、家族関係、宗教、環境、悪の起源、そして権力を支配する意味を語りながら、“分断がもたらす争い”を露悪的に見せていく大人のためのダークファンタジー作品だ。

 バスケスは、「地獄の黙示録」×「バンビ」×「聖書」という3本柱のコンセプトに、テディベアとユニコーンの最後の聖戦を、血しぶき、内臓、ドラッグ、BL、テディベアの下半身なども交えて描き出しており、「PG12指定」を受けている“究極の反戦アニメーション”だ。

 しかしながら、バスケスが訴えたいのは、家族、宗教、環境、悪の起源、そして権力を支配する意味であり、分断がもたらす争いがいかに無意味であるかを説いているのだ。

 バスケスが「狂信的な考えがどのように戦争拡大に影響するかを描きたかった」と語っている通り、テディベアは見た目のかわいらしさに反して、次々と残虐行為に走っていく。テディベアは、己の信念と欲望、そして支配欲の果てに、道徳心を見失っていく。

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