「VIVANT」の真の意味は
クライマックスのキーマンとして考えられるのは、前述した名前の他には、乃木に裏切られ、囚われの身となったままの黒須駿(松坂桃李)、乃木がベキの実子であることに不満を募らせている“次男”のノコル(二宮和也)。さらには、誤送金事件の中で犯人に疑われた丸菱商事の長野利彦専務(小日向文世)の存在も忘れることはできない。
誤送金事件の疑いは晴れたものの、防衛大学を卒業していること、その後、2年のブランクがある点について、違和感がある。長野は「覚醒剤に溺れ、薬物中毒を治療するための施設にいた」と語ってはいるものの、それを証明できてはいない。また、誤送金事件の後、物語から“消えた”ことも不気味さを倍増させる。
以上に挙げた各人が全てテントに関わっていたとしたら、日本国内のみならずバルカ駐在の日本人も、テントの諜報員だらけだ。まるで“スパイ天国”とも揶揄される日本の現実を突きつける形ともいえるのだ。
残り2話で、テントvs公安vs別班の三つ巴の闘い、そして「VIVANT」という言葉の真の意味を明らかにさせなければならない。その中で、多く散りばめられた伏線をすべて回収しなければならないことから、怒涛の展開になるであろうことは想像に難くない。
本作は、日本と“架空の国家”バルカ共和国を跨いだ壮大なドラマであるが、同時に、不本意な形で生き別れた父と子の物語でもある。乃木の別人格である「F」が語るように、果たして息子が実父に対して刃を向けることはあるのか。その親子関係を軸に、ドラマの結末に向けて、展開を見守っていきたい。
(文・寺島武志)
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