ジョニーデップ版はブラックユーモア
本作は夢の素晴らしさを強調
ティム・バートン監督がメガホンをとった映画『チャーリーとチョコレート工場』は、観る者を愉快にさせると同時にどこか気味の悪さを感じさせるウンパルンパの楽曲や、バートン作品特有の毒々しさや皮肉がたっぷり込められていた。
しかし、映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』では、良くも悪くも毒が抜け、子供から大人まで幅広い年齢層が心置きなく楽しめる、なんとも明るい作品となっている。
ティム・バートン監督『チャーリーとチョコレート工場』との違いはビジュアル面にも見られる。服装や建物、小道具一つとっても、配色のテイストが異なるのだ。
『チャーリーとチョコレート工場』では、どのシーンをとっても 原色同士が重なり合い、毒々しい印象をもたらすのに対し、映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』では、パステルカラーや中間色を活用することで、より温かく、落ち着いたトーンに統一されている。
楽曲の歌詞にも注目したい。『チャーリーとチョコレート工場』では、工場内で子供たちが脱落する度に、ウンパルンパがどこからともなく現れ、それぞれの子供に対し皮肉たっぷりの歌とダンスを披露する。
肉屋の息子・オーガスタスが脱落した際に歌われる楽曲の歌詞を見てみよう。そこでは「卑しくてムサくて頭のトロい豚」、「機械の歯車につぶされ砕かれて」といったどぎつい言葉が飛び交い、ダストシュートに落ちていった少女の歌では、「いやみな小娘」、「ダストシュートの途中に誰かに出会うさ」、「今朝切り落とされた魚の頭とか」といったいかにもブラックな歌詞が登場する。
一方で、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』に使用される楽曲は、夢を持つことの素晴らしさを言祝ぐ明るい歌がメインとなっている。