“子供の描かれ方”の違い
ブラックな『チャーリーとチョコレート工場』と明るく親しみやすい『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』。両者の対比は「子供の描かれ方」においてピークを迎える。
『チャーリーとチョコレート工場』に登場する子供たちは、主人公のチャーリー以外、姿形が変わり、ボロボロになって退場する。例えば、バイオレットという少女は、身体中真っ青になり、体が異常に大きく膨張する。また、マイクという賢いながらもやんちゃな少年は、信じられない程高身長になった挙句、ペラペラな体に変えられてしまう。
『チャーリーとチョコレート工場』のブラックな描写には独特のユーモアがあり、グリム童話のような残酷さも兼ね備えている。とはいえ、幼少期に同作を見た筆者は、あまりに不気味な“子供たちの最後”に笑いよりも不安をかき立てられた。
印象に強く残るはどっち?と問われれば、迷わずティム・バートンの『チャーリーとチョコレート工場』を選ぶだろう。しかし、ポール・キングによる『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、口当たりがよく、マイルドなチョコレートのように、老若男女が堪能できる絵本のような作品に仕上がっている。