「嫌な気持ちがドロドロ」後味最悪…究極の鬱ホラー映画(2)。最低最悪…見たくないのに惹きつける”ゲーム”
text by 編集部
ホラー映画紹介Vtuver・ミミカ・モーフ氏に、配信で観られる映画作品の中から「本当に怖い映画」を厳選してご紹介いただく本企画。今回は、鬱展開ホラー映画の中から5作品をチョイス。逃げ場のない殺人ゲーム、出口のない迷宮をさまよう母親…。報われない展開に神経が逆撫でされる、鬱ホラーの傑作群をご紹介。今回は第2回。
(配信状況に関する情報は2022年12月時点のもの)
『ファニーゲーム』(1997)
上映時間:103分
製作国:オーストリア
監督:ミヒャエル・ハネケ
脚本:ミヒャエル・ハネケ
キャスト:スザンヌ・ロタール、ウルリッヒ・ミューエ、アルノ・フリッシュ、フランク・ギーリング
【作品内容】
バカンスのため別荘へとやってきたショーバー一家の元へ、ペーターという若者が現れる。徐々に不愉快な態度へと豹変していくペーターにもう一人の若者・パウルも加わり、一家をターゲットにした殺人ゲームをしようと提案する。
1997年のカンヌ国際映画祭で上映され、ショッキングな胸糞展開に途中退席者が続出したスリラー作品。監督は、同映画祭でパルム・ドールやグランプリの受賞歴のあるミヒャエル・ハネケが務めた。
ミミカ・モーフ 推薦コメント
一言でいうと、非常に酷い映画である。どんな映画であっても、悪役には大抵それぞれの美学や目的があり、その悪行はどこか観客の我々を魅了する不思議な力があったりもするのだ。しかし、今作にそんなものはない。ただゲームをしているだけなのである。目的もなく人の神経を逆撫でし苛立たせ、残虐で悪趣味な遊びに興じるサマには背筋が凍る。
誰しもが悪ふざけに対して「NO」と言って、咎めたくなること間違いないだろう。また、観ていて、正義心を弄ばれているような不快感を覚えるに違いない。
正直面白い映画ではないのだが、ラストまで観客を惹きつける力は凄まじい。観た後に、どこか自身の無力さと、状況を好転させられないもどかしさを覚える。そうした感覚は今作でしか味わえないだろう。その点で映画表現の奥深さに触れることができる作品となっている。
【関連記事】
後味最悪…究極の鬱ホラー映画5選(1)
後味最悪…究極の鬱ホラー映画5選(3)
後味最悪…究極の鬱ホラー映画5選(全作品紹介)