史上最高の脱出系映画は? スリル満点の傑作(4)本物の実行犯がまさかの..リアルで息を呑む知られざる名作
一つのジャンルとして確立している「脱出系映画」。自分の身には起こり得ないだろうと思えるからこそ、映画として楽しめるのだ。しかし、そんな“脱出劇”を現実で繰り広げた者たちがいると知ったら…。今回は、ドキドキが止まらない作品を5本セレクトしてご紹介する。第4回。(文・シモ)
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『穴』(1960)
監督:ジャック・ベッケル
脚本:ジャック・ベッケル、ジョゼ・ジョヴァンニ、ジャン・オーレル
出演:マーク・ミシェル、ジャン・ケロディ、ミシェル・コンスタンタン、フィリップ・ルロワ、レイモンド・ムーニエ、カトリーヌ・スパーク
【作品内容】
ラ・サンテ刑務所の独房に閉じ込められていたロラン(ジャン・ケロディ)、ボスラン(レイモンド・ムーニエ)、マニュ(フィリップ・ルロワ)、ジョー(ミシェル・コンスタンタン)の4人は、重罪裁判にかけられる前に、脱獄の計画を立てていた。そこに、新入りのガスパール(マーク・ミシェル)が入ってくる。4人は、ガスパールに脱獄の計画を打ち明け、早速実行に移すが…。
【注目ポイント】
本作は、1947年にラ・サンテ刑務所で起きた事件を基にした実話ベースの作品。原作は、ジョゼ・ジョヴァンニの同名小説で、『現金に手を出すな』(1954)『モンパルナスの灯』(1958)などで知られるフランスの名匠ジャック・ベッケルがメガホンを取る。本作はベッケルの遺作となった。
最大の注目ポイントは、なんと言っても徹底したリアリズムだろう。映画では、なんと実際にラ・サンテ刑務所から脱獄した実行犯の一人、ジャン・ケロディがロラン役として出演し、独特の存在感を放っている。
描写もリアリティにあふれている。額の汗、乱れる髪、格子を切る鉄ヤスリのすり切れる音。そういった音が鳴り響く中、看守の目を盗みながら穴を掘る男たち。そして、ようやく地下と地上が貫通し、いざ脱獄を企てようとしたその時―。のぞき穴から外を見ると、そこには待機する看守たちの姿があった―。
ラストシーンに向かうほどに緊迫感が増していく、フランス映画史上屈指の傑作だ。
(文・シモ)
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