大河ドラマ『光る君へ』で最も演技が良かった俳優は?(3)ラブシーンが最高だった…美しく儚い芝居で才能が開花
text by 西田梨紗
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)がいよいよ最終回を迎える。平安時代の身分を超えた恋愛を描き、これまでの大河ドラマとは一線を画した内容で支持を集めた。中でも、男性陣は魅力的なキャラクターが揃い、視聴者を虜にした。そこで今回は、最も芝居が良かった俳優を5人セレクトしてご紹介する。第3回。(文・西田梨紗)
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大河初出演で掴んだハマり役
塩野瑛久(一条天皇)
塩野瑛久が演じた一条天皇は幼くして即位し、定子に多大な愛情を注いだ帝である。笛を得意とし、美しくもはかなく、政力争いの渦中を生きた一条天皇を塩野はきわめて美しいキャラクターに仕立て上げてみせた。一条天皇を演じる塩野には特有の透明感があり、手をふれると、通り抜けてしまいそうに思えるほど、脆く見えるときもあった。
一条天皇と高畑充希演じる定子が度々繰り広げるラブシーンは、一条天皇の数ある見せ場の中でも白眉。2人の清らかな愛情があふれる美しいシーンであった。男女の営みのシーンが艶やかというよりも、清らかに仕上がったのは、ジェントルで透明感がある塩野、清純で天真爛漫な高畑のコンビだからこそ。
また、第27回「宿縁の命」における一条天皇が吉田羊演じる詮子に反抗するシーンも見どころであった。一条天皇の内なる思いを垣間見せた重要なシーンである。
このシーンで一条天皇は、「朕も母上の操り人形でした。父上からめでられなかった母上の慰みものでございました」と言い放ち、愛しているはずの母親を絶望の淵に追いやった。
塩野は一条天皇の意思の強さを印象づけながらも、自身の発言に対する母への負い目も感じさせながら、何層にも重なる感情のレイヤーをうまく表現していた。
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