ホーム » 投稿 » 5選記事 » 海外映画 » 実話の方が恐ろしい…実在の殺人事件がモデルの映画(2)謎の暗号が不気味すぎる…沢山の人生を狂わせた事件は?

実話の方が恐ろしい…実在の殺人事件がモデルの映画(2)謎の暗号が不気味すぎる…沢山の人生を狂わせた事件は?

実際の殺人事件を基に制作された洋画は、そのリアルなストーリーと描写で観る者に強烈な印象を残す。今回は、歴史に名を刻んだ事件を元に描かれた5つの傑作映画をセレクト。実際の事件に迫り、本作の魅力とその背後にある事件の背景に迫る。第2回。(文・村松健太郎)

——————————

記者と刑事の執念を描いたデヴィッド・フィンチャーの傑作

『ゾディアック』(2007)

マーク・ラファロ
マーク・ラファロ【Getty Images】

監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
原作:ロバート・グレイスミス
出演:ジェイク・ジレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr、ブライアン・コックス、アンソニー・エドワーズ、イライアス・コティーズ、ドナル・ローグ、ジョン・キャロル・リンチ、ダーモット・マローニー、クロエ・セビニー

【作品内容】

 1969年。アメリカ・カリフォルニア州バレーホで若いカップルが銃撃される事件が発生。その1ヶ月後、大手新聞社に犯人から暗号付きの手紙が届く。事件を担当する刑事や新聞社で働く4人の男たちが人生を狂わせていく。

【注目ポイント】

 1960年代の末に立て続けに起きた連続殺傷事件(ゾディアック事件)を題材にしている。事件の内容はこうだ。1968年から69年にかけて2組のカップルとタクシー運転手が襲われた。その最大の特徴が、サンフランシスコの新聞社に断続的に送り付けられた、暗号を含んだ犯人からの大量のメッセージである。かつて昭和日本を震撼させた「グリコ森永事件」と同じ、いわゆる劇場型犯罪である。

 送り付けられた複雑な暗号の一部は、テクノロジーが発展した現代においても解読しきれていないという。ちなみにゾディアックという名称は、犯人のメッセージに由来している。

 そんな謎の事件を2時間37分もの長尺で描いた本作のメガホンをとったのは、『セブン』(1995)や『ファイトクラブ』(1999)で知られる名匠デヴィッド・フィンチャー。映画の前半では事件について語られ、後半は事件を追う記者と刑事がそれぞれ真相究明に取り憑かれ、人生が狂っていくサマを描いている。原作は、ゾディアック事件を追ったロバート・グレイスミスのノンフィクション小説だ。

 原作者のグレイスミスをジェイク・ギレンホールが演じたほか、同じく事件を追う記者にロバート・ダウニーjr、刑事役にマーク・ラファロがキャスティングされている。

 原作のノンフィクション並びに映画ではアーサー・リー・アレンという人物が限りなく黒に近いグレー、つまり犯人(ゾディアック)に限りなく近い人物とされている。とはいえ現実では、アーサー・リー・アレン=ゾディアック説は確証を得るまでに至らず、アレンは92年に死亡。真相は藪の中だ。

 なおクリント・イーストウッド主演の刑事映画『ダーティハリー』(1971)の1作目もこの事件がモデルになっており、本作でマーク・ラファロが演じた刑事(のモデル)は、ハリーのモデルの1人とされている。それを踏まえて、両作を見比べてみるのはいかがだろうか。

(文・村松健太郎)

【関連記事】
実話の方がやばすぎて怖い…実在の殺人事件がモデルの映画(1)
実話の方がやばすぎて怖い…実在の殺人事件がモデルの映画(3)
実話の方がやばすぎて怖い…実在の殺人事件がモデルの映画(全紹介)
【了】

error: Content is protected !!