史上最高の『相棒』スペシャル回は? 最も面白い神回(4)ツラく悲しく重苦しい…鳥肌が立つ結末とは?

text by Naoki

ドラマ『相棒』が元日SPをやっている事を知っているだろうか。『相棒』ではSeason4から現在のseason23まで19年以上正月の夜に放送されている。2時間以上の放送尺、正月の特別枠という事で例年気合いが入った物語が展開されており、見応えのある作品も多い。今回はその中でも評価の高い5本とその見所を紹介しよう。第4回。(文・naoki)

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season19『オマエニツミハ』(2021)

反町隆史
反町隆史【Getty Images】

 仁江浜「今まで間違った判断をされた事はあるんですか?」

 市役所職員がリンチの末に殺される事件が発生する。職員は未成年の頃に通り魔的な暴行事件を起こしており、1人に後遺症が残るほどの怪我をさせていた。その後も過去に少年法で早期出所した凶悪犯が殺される事件が起こる。事件解決に動く特命係だが仁江浜というフリーの記者が右京へ執拗に接触を図る。そして物語は12年前起こった右京が救えなかった事件にも繋がっていく。

 本作は元日SPというお祭り気分を吹っ飛ばすほどに重い。大切なものを失い奪った犯人は少年法で守られ更生せずに出所する。そんな彼等への復讐に全てをかけた犯人が言い残す「虚しい」という言葉だけでツラく悲しく重苦しく、そして全てが終わった後には視聴者にも圧倒的な虚しさが押し寄せてくる。

 本作を描いた瀧本智行氏は『相棒』の中では物悲しい人情的な社会派脚本を書く事に定評があるが、その評判に違わぬ傑作回である。サブタイトルである「オマエニツミハ」の意味を知ると間違いなく鳥肌が立つ。

『相棒』の元日SPには今作以外にも陰鬱なものは複数あり、S9「聖域」やS14「英雄」なども代表的だ。巨悪や大掛かりな事件も良いが元日に等身大の“人間”を冷たく描いても許されるのが『相棒』の凄さの1つかもしれない。

(文・naoki)

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【了】

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