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失神者が続出した究極のトラウマ映画は? 禁断の名作(5)カンヌがドン引き…グロテスクな描写のオンパレード

text by ニャンコ

人類は太古の昔より、「恐怖」を排除することで危機の時代を生き延びてきた。しかし、その一方で、人間は、妖怪や幽霊を文化として楽しんできた。怖ければ怖いほど見たくなる―。そんな心理的機能が人間には備わっているようだ。今回は、そんな「怖いもの見たさ」をそそる映画をセレクト。失神者や嘔吐者が続出したトラウマホラーを紹介する。第5回。(文・ニャンコ)

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痛々しくて見てられない…!
ボディ・ホラーの鬼才が送る近未来SF

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(2023)

ヴィゴ・モーテンセン【Getty Images】
ヴィゴ・モーテンセン

監督:デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト:ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュワート

【作品内容】

 人類が人工的な環境に適応するよう進化し、痛みの感覚を失った近未来の地球。体内で新たな臓器が生み出される「加速進化症候群」を患うソールは、臓器にタトゥーを施して摘出するショーで衆目からの人気を集めていた。

 しかし、人類の誤った進化を監視する政府は、臓器登録所を設立。ソールも政府から目を付けられはじめる。

【注目ポイント】

『ザ・フライ』(1986)や『イースタン・プロミス』(2007)で知られるボディ・ホラーの巨匠デヴィッド・クローネンバーグ。彼が、痛みを感じなくなった新人類をテーマに描いた作品が、この『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』だ。カンヌ国際映画祭でお披露目された際には、途中退出者が続出したという曰く付きの1本でもある。

 公開時から大きな注目を浴びていた本作。全編を通じて衝撃的なシーンが続くが、中でも印象的なのは、主人公ソールが自らの身体から臓器を摘出する「セルフ解体」シーンだろう。自らの身体から臓器を引きずり出す描写は、グロテスク以上に痛々しさが伝わってくる。

 また、顔を自ら傷だらけにした女性など、痛々しい造形が随所で登場するのも本作の特徴だろう。特に、身体中に耳を縫合した男性は、なかなかお目にかかれない気持ち悪さがある。

 なお、本作は、ソールが罹患している「加速進化症候群」をはじめ、SFチックな設定がプラスされている。その点、本作は、凡百のスプラッター映画とは一線を画した作品であることは間違いないだろう。

(文・ニャンコ)

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【了】

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