史上最も泣ける「父と子の絆」を描いた映画は? 感動のラスト(1)残酷だけど愛にあふれた結末は? 不朽の名作
女は十月十日をかけて母になるが、出産を経験しない男はいつ父親になるのか。実際、子育てに悩む男がいるのも事実だ。しかし映画は、あらゆる人の人生に寄り添い、一緒に答えを見つけてくれる。そこで今回は、お父さんの愛情が溢れる洋画を5本セレクトしてご紹介する。第1回。(文・シモ)※この記事では物語の結末に触れています。
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『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997)
監督:ロベルト・ベニーニ
脚本:ヴィンチェンツォ・チェラーミ、ロベルト・ベニーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジョ・カンタリーニ、ホルスト・ブッフホルツ
【作品内容】
1939年、第二次世界大戦前夜の北イタリア。
叔父を頼って友人とともに北イタリアの田舎町にやってきたグイド(ロベルト・ベニー二)は、美しい小学校教師のドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)に一目惚れする。
奇抜な方法でアタックをくり返すグイドは、やがてドーラと結婚。息子のジョズエ(ジョルジオ・カンタリーニ)が生まれる。しかし、ユダヤ人の迫害をくり返すナチス・ドイツの手によって、3人は強制収容所に入れられてしまい…。
【注目ポイント】
第二次世界大戦末期。ナチス・ドイツにより、強制収容所に送られる絶望的な状況の中、息子のジョズエを怖がらせないようユーモアを絶やさない父・グイドの姿が、胸をしめつける。
強制収容所での辛いできごとをすべて、ゲーム仕立てにしてしまうグイド。
「これは、みんなとの競争だ。先に1000点を取った人が、新品の戦車をもらえるんだ」
「泣いたり、ママに会いたがったりしたら減点だ」
マイナスの状況を、アイデアでプラスに変えてジョズエを安心させてやろうとする父親の優しさがあふれている。
物語の終盤、ドイツの敗戦が近づくある日、強制収容所を脱出する機会が訪れる。
亡くなる直前、グイドは、ドイツ兵に連行されて収容所の隅に連れていかれるのだが、そこでも彼はジョズエをユーモアで安心させてやる。楽しそうに行進してみせるのだ。そして、ドイツ兵の銃弾に倒れる…。
「これがわたしの物語だ。父がわたしにしてくれたこと。それこそが贈り物だった」と、生き残って成長したジョズエの声で物語は締めくくられる。
ゲームで1000点を取ったプレゼントは、父の言うように本物の戦車だった。しかし、本当は違う。真のプレゼントは、父の永遠の愛情だったのだ。
(文・シモ)
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【了】