背筋がゾッとする…史上最高のオカルト系ドラマは?(4)謎のビデオがリアルで恐い…不気味な世界観がクセになる

text by 西本沙織

限りなくリアルを追求したドラマ作品も素晴らしいが、フィクションならではストーリー展開で、視聴者の胸を熱くさせる名作も多い。そこで今回は、”オカルト”をテーマにしたドラマの中から、近年でも特にオススメの作品を5本セレクト。非日常の世界観に思わず引き込まれる珠玉の作品をご紹介する。第4回。(文・西本沙織)

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現代では得られない、時代ならではの気味悪い世界観を堪能できる一品

『デッドストック〜未知への挑戦〜』(2017)

村上虹郎
村上虹郎【Getty Images】

監督:権野元、三宅隆太、森達也
脚本:加藤淳也、三宅隆太、継田淳
出演:村上虹郎、早見あかり、田中哲司

【作品内容】

 テレビ東京の新人AD常田大陸(村上虹郎)は、社屋移転で発掘された膨大な番組素材をチェックする部署“未確認素材センター”に配属される。同僚の駆け出しディレクター・二階堂早織 (早見あかり)やかつての敏腕ディレクター・佐山暁(田中哲)とともに、VTRを整理する日々が続く。

 ある日、大陸たちは身の毛もよだつ怪奇現象が収録されたビデオテープを発見する。廃棄テープの整理から抜け出したかった早織は、映像の続きを撮影し、勝手に番組化しようと企てるが…。

【注目ポイント】

 テレビ東京の社屋を舞台に描く、虚実入り混じる新感覚ホラー。各話ごとにお蔵入りになったテープが1本ずつ再生されていくのだが、特筆すべき点はその映像の再現度の高さだ。

 VHSテープ特有とも言える粗い画質、ザラザラとしたノイズが流れた瞬間、もう嫌な気配を感じる。もしかしたら砂嵐の隙間に不気味な“何かが”映り込んでいるのでは…と。そんな子どもの頃に漠然と感じた恐怖心が、蘇ってくるようだった。

 第5話までは、呪いの人形や丑の刻参り、こっくりさんなど、古くから伝わるジャパニーズホラーが取り入れられている。『呪怨 白い老女』(2009)の三宅隆太、『クロユリ団地』(2013)の加藤淳也など、数々のホラー作品を生み出したベテラン作家が手掛けるストーリーの怖さは、まさに一級品。視聴者を驚かせるジャンプスケア的演出もまた、不安を煽られ、怖気を振るってしまう。

 第6話からは、宇宙人や念動力のようなSF要素も。なかでも、スペシャルエピソードに位置する最終話は、ドキュメンタリーのようで一際異彩を放っていた。それもそのはず、『FAKE』(2016)などのドキュメンタリー映画で話題を攫った森達也がメガホンを執り、本人役として出演。さらには“スプーン曲げ”で一世風靡した「エスパー清田」こと清田益章本人が登場するのだ。テレビとオカルトの“虚実”にぐっと踏み込み、その境界線を壊していく終幕は見事としか言いようがない。

 Blu-rayが主流となり、ビデオテープを知らない世代も増えてきている。現代では得られない、時代ならではの小気味悪い世界観にぜひ没頭してみてほしい。

(文・西本沙織)

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【了】

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