史上最高のどんでん返し映画は? 驚きの結末の傑作(5)周囲の人物が次々と怪死…まさかの犯人とは?

text by 編集部

小説や映画には「信頼できない語り手」という手法がある。これは、語り手の信頼度を低くすることで読者や観客をミスリードするというものだ。要するに人間は、現実を都合良くゆがめてしまう生き物なのだ。今回は、実は悪人だった「信頼できない」主人公を描いた映画5本をセレクト。驚愕のどんでん返しの一部始終を紹介する。※この記事では物語の結末に触れています。第5回。(文:編集部)

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モダン・ホラーの帝王の私小説的作品

『シークレット ウィンドウ』(2004)

ジョニー・デップ
ジョニー・デップ【Getty Images】

監督:デヴィッド・コープ
脚本:デヴィッド・コープ
キャスト:ジョニー・デップ

【作品内容】

 売れっ子作家のモート・レイニー(ジョニー・デップ)は、離婚のいざこざが原因でスランプに陥っていた。

 そんなある日、彼の前に、「自分の作品を盗まれた」と盗作を告げる謎の男ジョン・シューターが現れる。全く覚えがないモート。しかし、シューターの方は、盗作を世間に公表しろ、と執拗な嫌がらせを続ける。

 やがて、シューターを見た者や正体を探る者が次々と謎の死を遂げていく。果たしてシューターは一体何者なのか?

【注目ポイント】

 『ミザリー』(1990)や『シャイニング』(1980)など、数々の名作映画の原作者として知られる「モダンホラーの帝王」スティーブン・キング。そんな彼の私小説的作品を実写化したのが、この『シークレット ウィンドウ』だ。

 原作はキングの中篇小説『秘密の窓、秘密の庭』(『Four Past Midnight』所収)で、監督は『スパイダーマン』(2002)『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)の脚本で知られるデヴィッド・コープ。主人公のモート・レイニーをジョニー・デップが演じる。

 小説家を主人公とした本作は、いわばキング自身の私小説と言えるだろう。現に、キングによると、本作は、自身が受けたいわれのない告発からインスピレーションを得たという。しかし、本作は、現実と大きく異なる点がある。それは、主人公が二重人格であるという点だ。

 そう、ジョン・シューターとは、他の男にうつつを抜かす妻を手にかけるためにモートが作り出した第二の人格だったのだ。つまり、モートは、自分自身が生み出した人格におびえ、翻弄されていたわけだ。

 そして、この複雑怪奇な設定に説得力を与えるのが、ジョニー・デップの演技力だ。これまでのフィルモグラフィーを通して、海賊船の船長から障がい者を弟に持つ心優しい青年まで、さまざまな役を演じてきたジョニーだが、本作では複数の人格を見事に演じ分けている。

 なお、キングは本作について「『ミザリー』『ダーク・ハーフ』で扱ったテーマに対して、異なるアプローチをした作品」と語っている。両作品とも実写化されているので、併せてご覧いただきたい。

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【了】

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