完全終了…世界の崩壊を描いた日本映画は?(4)女子高生が世界を救う…鬼才監督の衝撃の引退作とは?

長らく映画の題材として取り扱われてきた世界の崩壊。実際にはありえないと思われる内容でも、現実の情勢を見るとないとも言い切れない。度重なる自然災害、世界規模のパンデミック、今も拡がる戦火を見てしまうと、思わず“その延長線上”を想像してしまう。今回は国および世界の崩壊を描いた日本映画を5本セレクトした。第4回。(文・村松健太郎)

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鬼才・紀里谷和明の引退作品
女子高生の夢が世界を救う?

『世界の終わりから』(2023)

毎熊克哉 写真:武馬玲子
毎熊克哉 写真:武馬玲子

監督:紀里谷和明
脚本:紀里谷和明
出演:伊東蒼、毎熊克哉、朝比奈彩、増田光桜、岩井俊二、市川由衣、又吉直樹、冨永愛、高橋克典、北村一輝、夏木マリ

【作品内容】

 事故で家族を失った女子高生の“ハナ”は夢で見たことが極めて近しい未来に起きる世界の崩壊を暗示していると言われ期せずして“世界の最後”に関わっていくことになる。

【注目ポイント】

 宇多田ヒカルの初期MVを手掛け、私生活でも一時期パートナーであった紀里谷和明。2004年に『CASSHERN』で長編映画デビューすると2009年の『GOEMON』、ハリウッド作品『ラスト・ナイツ』(2015)などを手掛けてきた。そんな紀里谷が映画監督引退作品として発表したのが本作。

 ヒロインには伊藤蒼が抜擢され、2024年の大河ドラマ『光る君へ』で注目を浴びた毎熊克哉ほか、朝比奈彩、夏木マリ、高橋克典、北村一輝、冨永愛などが顔をそろえている。

『CASSHERN』から一貫して観られる独特の凝った映像美は本作でも健在である。また、『CASSHERN』で提示したことのアンサーとして捉えることができるストーリーも興味深い。公開当時、賛否は分かれたものの、独特なカメラワークとキャスティングセンスはほかにないもの。紀里谷和明の引退撤回があっても良いのではないだろうか?

 一部の怪獣特撮を覗いてSF映画が必ずしも得意とは言えない邦画だが、この映画以外にもクライマックスで太陽系もろとも地球を滅却する“天体制圧用最終兵器ゼットン”が登場する『シン・ウルトラマン』(2022)、かつての大ブームから発生した“ノストラダムスの大予言”、第三次世界大戦の勃発から起きる出来事をドキュメンタリータッチで描く『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』(1960)などがある。

 また実写からアニメまで様々な形態で創られた『デビルマン』などもこのカテゴリーの一本と言えるだろう。

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【了】

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