冬ドラマで最も株を上げた女優は? 演技が素晴らしい宝石(1)芝居の幅が広すぎる…難役で光る圧倒的な実力
2025年の冬ドラマも盛り上がっている。今回は、現在放送中のドラマに出演する女優をピックアップ。キャリア十分の実力派や新境地を開拓した若手の中から、今季、最も役者として株を上げた注目の女性俳優5人を選出し、作品の内容と共に、俳優の魅力を解説する。第1回。(文・平良真咲)
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くるくると変わる表情がかわいらしい
芳根京子『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)
くるくると変わる表情がかわいらしく、清楚という言葉がぴったりとハマる芳根京子。だが、ひとたび演技をすれば、映画『累 -かさね- 』(2018)で見せたような“負”のオーラを全身にまとったおどろおどろしい役を憑依させることもできてしまう。整った顔立ちだからこそ滲む翳りや恐怖を、絶妙に出し入れする演技派だ。
そんな芳根が今回『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)で演じるのは、「研修医はお客様」と腫れ物のように扱われながらもあっけらかんと過ごす医師1年目のイマドキ研修医・若月まどかだ。
当初はふわふわとした役どころなのかと思って観ていたのだが、いざ研修がはじまれば、そこは命を扱う現場。医療ものならではの緊張感がある。
印象的だったのは第3話。消化器内科に配属されたまどかは、スキルス胃がんで余命わずかと診断された患者を看取る様子が描かれた。手の施しようがない患者に、どう声を掛けるべきか、自分には何ができるのか。真摯に考え、向き合うまどかの姿は観る者の心を打った。
そして、最期の瞬間。まどかは患者の家族に死亡を宣告し、静かに病室を出て大粒の涙を流す。
命に向き合うことの残酷さ、医師としての葛藤を、まどかとして誠実に生きる芳根。2年間の研修期間を描く本作だが、彼女の丁寧な芝居によって、しっかりと感情移入できる作品に仕上がっている。『まどか26歳、研修医やってます!』が、芳根の代表作となることを期待したい。
(文・平良真咲)
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