名作揃い…識者が選ぶ最も面白い「多きょうだいドラマ」は?(2)まるでユートピア…すったもんだが面白い傑作
テレビ放送が本格的にスタートしておよそ70年。数々のドラマがお茶の間の話題をさらってきた。中でも、「多きょうだい」の人間模様を描いた作品には当たりが多い。そこで今回は、「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社)の著書であるコラムニストの小林久乃さんに、お勧めの「多きょうだいドラマ」を3本セレクトしてもらった。第2回。(文・小林久乃)
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四姉弟が織りなす珠玉の人間模様
『末っ子長男姉三人』(2003)
脚本:吉田紀子
キャスト:深津絵里、岡田准一、賀来千香子、原田知世、小雪、岸惠子
2003年放送『末っ子長男姉三人』(TBS系)はタイトル通り、四姉弟が登場。夫の浮気問題で実家に出戻り中の長女・米山(旧姓:柏倉)節子(賀来千香子)、エリート銀行マンの次女・和子(原田知世)、劇団女優の三女・幸子(小雪)に、サラリーマンの長男・一郎(岡田准一)。柏倉家ではおそらく男子誕生を期待しまくって、やっと生まれた一郎をさぞかし可愛がっていると思いきや、そうでもない。個性の強い姉たちに何も意見できず、弟は家の中で小さくなっていた。
このドラマの主人公は姉弟ではなく、一郎と結婚することになった柏倉春子(深津絵里)30歳なのに5歳サバを読んでいたところからドラマは始まり、春子は三姉妹に加えて義母と同居をすることになる。今から約20年前のドラマには若夫婦にとっては不本意ながらも、同居という結婚詐欺のような(?)ルールが存在していたらしい。この同居によるすったもんだが面白かった。あと個人的には第1話で年齢詐称をしていた春子と、何その事実もを知らない一郎の交際ぶりをもう少し見たかった。
『ランチの女王』も然り、2000年代初頭はほかにも多きょうだいドラマは通常運転で放送されていた。今よりも女性の出産率が高かった時代だ。単純にきょうだいだけではなく、件の2作のように他人が家庭に介在してくることによって起きる事件が多かった記憶がある。
【著者プロフィール:小林久乃】
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は こちら
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