とにかく泣ける「兄弟愛」を描いた映画は? 感動必至の名作(2)名優の演技が光る…涙腺崩壊のラストとは?
とにかくどんなジャンルでもいいから、映画を観て泣きたい…。そんな方におススメなのは、人間の根源的な優しさを描いた、兄弟の絆をテーマにした作品である。近年屈指のスポ根ものから、北欧の名匠の代表作まで、色とりどりの作品をセレクトした。第2回。※この記事では物語の結末に触れています。(文・シモ)
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”真実の愛”が発露する涙なくしては観られないラストシーン
『レインマン』(1988)
監督:バリー・レヴィンソン
脚本:バリー・モロー、ロン・バス
キャスト:ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ、ヴァレリア・ゴリノ、ジェリー・モルデン、ジャック・マードック、マイケル・D・ロバーツ、ラルフ・シーモア
【作品内容】
高級外車のディーラー チャーリー(トム・クルーズ)は、事業に失敗して破産寸前に陥る。
ある日、絶縁状態の父の訃報を聞いたチャーリーは、遺産目当てに帰郷する。しかし、遺産の300万ドルの相続はすべて匿名の人物に相続されることに。
父の遺産をもらうのは、存在すら知らなかった自閉症の兄・レイモンド(ダスティン・ホフマン)だったのだ。チャーリーは、レイモンドを病院から連れ出してロスへ連れ出そうとするが…。
【注目ポイント】
『グッドモーニング,ベトナム』(1987)、『スリーパーズ』(1996)のバリー・レビンソンが監督を務め、アカデミー賞主要4部門(作品・監督・脚本・主演男優賞)を受賞した言わずと知れた名作である。
父に反抗し続け、家族と絶縁状態にある青年・チャーリーは、せっかちで何かとイライラしており、事業も上手くいっておらず、やや自暴自棄になっている。そんな彼が自閉症の兄レイモンドと再会することで、心に変化が生まれていく過程を丁寧に描き出している。
最初のうちは、遺産を分け与えようともしない父に対して腹を立てていたチャーリーだが、次第に心境に変化が生まれる。そのきっかけとなるシーンは、本作のハイライトでもある。
1965年の1月21日の木曜日、雪が1日で18センチも積もった日。家を出るレイモンドに幼いチャーリーが、「バイバイレインマン! バイバイ!」と言いながら窓で手を振ってくれた記憶が鮮明に蘇る場面だ。
このシーンでかつて兄のレイモンドが幼いチャーリーに「レインマン」の歌を聞かせた過去が明らかになる。そして、兄のレイモンドがなぜ病院に預けられているのかも。
「チャーリーに怪我をさせるな!」
父はレイモンドがチャーリーに怪我をさせることを案じて、やむを得ずレイモンドを病院に入れたのである。
レイモンドが自由を失った原因が、自身に起因していたことを知り、複雑な表情を浮かべるチャーリー。演じるトム・クルーズの繊細な演技が光る。
レイモンドは結局、病院に戻ることになる。列車に乗り込んだレイモンドにチャーリーが、「また会おう」と涙ながらに伝えるシーンは、観客の涙腺を刺激してやまない。ここにあるのは、兄への”真実の愛”に他ならない。観客はそのことを、序盤のフラストレーションを溜め込んだ表情とは打って変わった、チャーリーの晴れやかな表情によって知るのである。
(文・シモ)
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