名作ドラマで“胸糞の悪い演技”が絶賛された俳優は?(2)本気で怖かった…視聴者にトラウマを与えた怪演とは?

text by 阿部早苗

ドラマ好きの間で「名作」と評される作品にはいくつか共通点がある。その一つは、一度観たら忘れられない、強烈なキャラクターの存在だ。今回は、視聴者にトラウマ級のインパクトを与えたキャラクターおよび俳優を5人セレクト。唯一無二の演技の魅力を解説する。第2回。(文・阿部早苗)

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【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。【執筆実績】エンタメニュース、GYAOトレンドニュース、幼少期を綴ったエッセイ、東日本大震災時の企業活動記事「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパー「mattete」No2、福祉関連記事など。好きな映画のジャンルは、洋画邦画問わず、社会派、サスペンス、実話映画が中心。

ダークな芝居で光った卓越した演技力

錦戸亮『ラスト・フレンズ』(2008)

錦戸亮【Getty Images】

 長澤まさみを始め、上野樹里、瑛太など人気俳優陣が名を連ね、2008年に放送されたドラマ『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)。DVや性同一性障害、セックス恐怖症など社会的な問題に直面する登場人物たちが、それぞれの困難を乗り越えながら前向きに生きる姿を描いた内容に放送当時、話題となった。

 このドラマで長澤まさみ演じる美知留の恋人・宗佑を演じたのが錦戸亮だ。表向きは誠実で優しい青年に見えるが、実は極端な独占欲と暴力性を持っており、美知留が自分以外の人間と関わることを許さず少しでも自分の思い通りにならないと暴力を振るう。一瞬で表情が豹変し、鋭い目つきと低い声、突発的に暴力を振るう姿はとにかくリアルだった。

 宗佑は、暴力を振るった後は謝罪し、優しく接するのだが、これは典型的なDV加害者の常套手段である。美知留は彼の暴力に耐えられずに親友の瑠可(上野樹里)たちが暮らすシェアハウスに逃げ込むのだが、雨の中ずぶ濡れになりながら自分を待つ宗佑の姿に揺れ動き罪悪感に苛まれてしまう。
 
 相手への愛が強すぎるあまり“どうして自分の愛が伝わらないのか”と思い詰め、暴走してしまう男の狂気と脆さを見事に表現し、視聴者にトラウマを植え付けるほどの怪演を披露した錦戸。現役アイドルのダークな芝居に衝撃を受けた人は多く、SNSでは、「あの当時本気で怖かった」という声がよく見られる。
 
 一方、俳優・錦戸亮の高い演技力に注目が集まった作品であり、俳優としての一皮むけるきっかけになった作品と言っていいだろう。

(文・阿部早苗)

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【了】

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