史上最高の「日本の考察系ホラー映画」は? 謎めいた傑作(5)少女がカルト集団の生贄に…意味深すぎる結末は?
text by ニャンコ
近年、謎めいた展開や伏線が散りばめられた「考察系コンテンツ」が話題を呼んでいる。中でも考察系ホラーに勝るジャンルはないだろう。なぜなら妖怪や幽霊といった得体の知れないモノを描出するジャンルだからだ。そこで今回は、日本の「考察系ホラー映画」を5本紹介する。第5回。(文・ニャンコ)
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実話を基にした「考察型恐怖体験ホラー」
『N号棟』(2022)
監督:後藤庸介
脚本:後藤庸介
出演:萩原みのり、山谷花純、倉悠貴、岡部たかし、諏訪太朗、赤間麻里子、筒井真理子
【作品内容】
女子大生の史織(萩原みのり)は、友人の啓太(倉悠貴)、真帆(山谷花純)とともに幽霊が出ると噂の廃団地に訪れた。しかし3人は住人たちの姿を目にする…。
【注目ポイント】
2000年に発生した幽霊団地騒動を再解釈した「考察型恐怖体験ホラー」。監督は後藤庸介で、キャストには萩原みのりや山谷花純らが名を連ねる。
本作で描かれているのは、過去の忌まわしい出来事や場所が人間の精神を支配するというテーマだ。しかし、現実と幻想が曖昧にえがかれているため、実話の枠には収まらない議論の余地を残している。
例えば物語のラスト。美優は、N号棟に隠された秘密の部屋でかつてカルト集団によって生贄にされた少女の遺体を発見。彼女の怨念が数々の怪異の引き金となっていたことが判明する。
しかし、彼女の怨念により、美優の仲間たちが錯乱。最終的に美優も錯乱し、建物の一部と同化するように姿を消してしまう。この印象的な結末は、人間の心の脆さと集団心理の恐ろしさを象徴していると考えることができるだろう。
振り返ってみると美優はタナトフォビア(死恐怖症)で、生来死ぬことへの不安をかかえていた。もしかすると、「N号棟」は、彼女が脳内で作り出した妄想だったのかもしれない。
(文・ニャンコ)
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【了】