とにかく泣ける「兄弟愛」を描いた映画は? 感動必至の名作(5)弟をヒーローと思い込み…奇跡の感動作は?

text by シモ

とにかくどんなジャンルでもいいから、映画を観て泣きたい…。そんな方におススメなのは、人間の根源的な優しさを描いた、兄弟の絆をテーマにした作品である。近年屈指のスポ根ものから、北欧の名匠の代表作まで、色とりどりの作品をセレクトした。第5回。(文・シモ)

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どんな時も変わらない弟の愛に、思わず涙する

『弟は僕のヒーロー』(2024)

フランチェスコ・ゲギ
俳優のフランチェスコ・ゲギ【Getty Images】

監督:ステファノ・チパーニ
キャスト:アレッサンドロ・ガスマン、イザベラ・ラゴネーゼ、ロッシ・デ・パルマ、フランチェスコ・ゲギ、ロレンツォ・シスト、サウル・ナンニ、ロベルト・ノッキ、アリアンナ・ベケローニ

【作品内容】

 イタリアに住む5歳の少年ジャック(フランチェスコ・ゲギ)は、両親から弟が生まれることを告げられて大喜びする。弟の名前はジョー(ロレンツォ・シスト)。

 ジャックは、両親からジョーが「特別な子」だと知らされ、彼のことをスーパーヒーローだと信じるが、やがて「特別」の意味を知ることになる。

 思春期を迎えたジャックはある日、初恋の人アリアナに嘘をつく。その嘘が、家族、友達、町全体を巻き込む事件に発展してしまい…。

【注目ポイント】

 本作は、イタリアに住む高校生ジャコモ・マッツァリオールが、ダウン症の弟との物語を執筆した『弟は僕のヒーロー』を原作とした感動の物語である。

「特別な弟」をヒーローと信じ込み、優しく見守り続けていた幼少時代のジャック。

 しかし、思春期を迎えるにつれて「特別な弟」を理解できなくなり、イライラを募らせてしまう。恥ずかしいとさえ思いはじめてしまうのだ。

 そして、好きな子に、「弟はいない。死んだ」などと嘘をついてしまうのである。

「ダウン症だからと、自分の弟を否定するような人とは付き合いたくない…」

 初恋のアリアナに告げられ、学校でも家でも肩身が狭くなるジャック。

 しかし、ジョーだけは違う。「大好きだよ」と、落ち込むジャックを励ますのだ。どんな時も大好きなジャックに寄り添うジョーの優しさが、けなげで涙を誘うシーンである。

 そして、アリアナとの壊れた関係を修復するのも、ジョー。

「彼は君のことが好きなんだ」「もういいよ。許してあげて」

 ジョーはアリアナに、兄の罪を「なかったこと」にしてもらうよう無邪気にお願いするのだ。

 ジャックが兄のようで、実は弟のジョーの方が兄なのでは? と錯覚するシーンである。

 本作は、ジャックとジョーの兄弟愛を描いている。しかし、2人の家族、叔母さん、友達のヴィットなどのジョーの周りの人たちにも注目してもらいたい。その深い深い愛情に、心が温かくなるはずだ。

(文・シモ)

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【了】

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