なぜ転落…映画史に残る消えた天才は? 闇堕ちした子役(2)いじめで台無しに…原因は最低演技のレッテル?

text by 阿部早苗

『ホーム・アローン』、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』、『ターミネーター2』に『グーニーズ』…。時代を彩った名作映画の共通点はおわかりだろうか。そう、いずれの作品も子役が印象的な演技を披露しているのだ。しかし、彼らのその後の人生は決して順風満帆ではなかった…。そんな彼らの数奇な人生を紹介する。第2回。(文・阿部早苗)

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ジェイク・ロイド

ジェイク・ロイド
ジェイク・ロイド【写真:Getty Images】

生年月日:1989年3月5日
代表作:映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)

 世界で最も愛されている映画シリーズと言っても過言ではない『スター・ウォーズ』。1983年の『ジェダイの復讐』以来となる新作が発表された当時の熱狂ぶりは尋常ではなかった。肝心のストーリーを聞いてまたびっくり。なんとあのダースベイダーの幼少時代が描かれるというではないか!

 映画ファンの期待を一身に背負った『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』は、公開してたったの5日間で1億ドルを突破。当時の最速記録を更新するなど、事前の予想を上回る大ヒットを記録した。そんな本作で、若かりし頃のダースベイダーこと、アナキン・スカイウォーカーを演じたのが、当時10歳のジェイク・ロイドだ。

 突然の抜擢というわけではなく、3年前にはクリスマス映画の定番の1つ『ジングル・オール・ザ・ウェイ』(1996)でアーノルド・シュワルツェネッガーの息子役を演じ、「天才子役」の名をほしいままにしていた。

 シンデレラストーリーを歩むと思われたジェイク・ロイドだったが、そうは問屋が卸さない。爆発的な興行収入を記録した『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』だが、アナキン役のジェイクの評価は芳しくなく、その年のハリウッドの最低映画や俳優を選ぶ「ゴールデンラズベリー賞」で「最低助演男優賞」に選ばれてしまったのだ。

 あり得ないことに、これが学校での虐めへと繋がった。同級生から『ファントム・メナス』での演技を揶揄されたジェイクは次第に荒んでいき、結果、映画への出演を後悔することになる。ちなみに、「ゴールデンラズベリー賞」は2023年に18歳未満を候補にしないことを発表しているが、遅きに失したとしか言いようがない。

 ジェイクはドラマ『プライド・オブ・マディソン/栄光への挑戦』(2001)に出演後、「カメラを向けられることに対して嫌悪感を抱き始めた」という理由で俳優を引退。その後、映像制作を学ぶためにシカゴのコロンビア大学に入学するも中退している。

 2015年には車を運転中に保安官代理から停止を求められ、約40kmにわたるカーチェイスを繰り広げて無謀運転や停止命令の無視、免許不携帯などの罪で逮捕されてしまう。また、その翌年には統合失調症と診断されて刑務所から精神病の施設に移ったと報じられた。

(文・阿部早苗)

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【了】

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