ドラマ史上最も世間にトラウマを与えた俳優は? 衝撃の名演(5)視聴者ドン引き…お茶の間騒然の怪演は?
ドラマ好きの間で「名作」と評される作品にはいくつか共通点がある。その一つは、一度観たら忘れられない、強烈なキャラクターの存在だ。今回は、視聴者にトラウマ級のインパクトを与えたキャラクターおよび俳優を5人セレクト。唯一無二の演技の魅力を解説する。第5回。(文・阿部早苗)
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SM好きのストーカー…視聴者ドン引きの名演
佐野史郎『ずっとあなたが好きだった』(1992)
佐野史郎がマザコン夫を演じ、「冬彦さん現象」を巻き起こした1992年放送のドラマ『ずっとあなたが好きだった』。最高視聴率34.1%と大ヒットを記録した日本のドラマ史に名を刻む作品である。そんな冬彦さんを演じたのが佐野史郎だ。
物語は主人公の美和(賀来千香子)が、初恋の人を忘れられないままエリート銀行員・桂田冬彦(佐野史郎)とお見合い結婚したところから始まる。結婚してからゲームや蝶の標本好きというのを知った美和だったが、冬彦は母親に対して異常に依存する男性でもあった。
怪我した冬彦の指を母親が口にくわえて止血するという驚きの場面があったが、それより強烈だったのが口を八の字にしてぐずったり、木馬に乗って叫んだりする冬彦のエキセントリックな行動に加えて柵越しで美和を見つめるストーカー行為や、暗い部屋に座る冬彦、極めつけはSM好きだったということに衝撃を受けた視聴者も多かったのではないだろうか。
子供時代に観た人の中には「佐野史郎の「冬彦さん」しばらくトラウマになったのを思い出した」「冬彦さん…もう色々と恐怖過ぎて、大人になるまで佐野史郎が怖かった」「結構大人近くになるまでは、ずっと嫌いだった。多分中学生までくらいは、TVで見る度に拒否反応を起こしてた記憶がある」とトラウマを抱えている人もいるくらいだ。
終盤では美和の幸せを願った冬彦が起こした事件は予想もできない展開となり、さらに美和が初恋相手だったという一途な恋を告白するなど、これまでの狂気さを一変させたラストは圧巻だった。
(文・阿部早苗)
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