視聴者呆然…史上最もツッコミどころが多かった朝ドラは?(1)普通に考えてあり得ない? 物議を醸した場面は?

text by 阿部早苗

毎朝お茶の間に笑いと涙を届けてくれるNHK連続テレビ小説。しかし、意外過ぎる展開やクセ強キャラの登場で、ツッコミ必至の描写がSNSをにぎわせることもしばしば。今回は、視聴者が思わずツッコんでしまったシーンや展開がある作品を5本セレクト。それぞれの物語に潜む「愛すべき違和感」を振り返る。第1回。(文・阿部早苗)

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偶然の変化球のシーンに視聴者総ツッコミ

『おむすび』(2024)

橋本環奈
橋本環奈【Getty Images】

脚本:根本ノンジ
キャスト:橋本環奈、仲里依紗、佐野勇斗、相武紗季、萩原利久、新納慎也、犬飼貴丈、馬場徹平祐奈、田村芽実、酒井若菜、山内圭哉、岡本夏美、みりちゃむ、谷藤海咲、菅生新樹、松本怜生、中村守里、若月佑美、一ノ瀬ワタル、新津ちせ、宮崎莉里沙、関口メンディー、小手伸也、三宅弘城、渡辺直美、山本舞香、中村アン、濱田マリ、藤原紀香、キムラ緑子、池畑慎之介、緒形直人、麻生久美子宮崎美子、北村有起哉、松平健

【作品内容】

 幼い頃に阪神淡路大震災を経験し、家族と福岡県・糸島へ移住したヒロイン・米田結(橋本環奈)。高校時代は恋に友情、ギャルとして青春を謳歌し、やがて栄養士を目指す。平成から令和にかけて成長するヒロインの姿を描いた物語。

【注目ポイント】

 橋本環奈がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説『おむすび』(2024年9月~2025年3月放送)。ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)シリーズや、『監察医 朝顔』(フジテレビ系)シリーズなどを手がけてきた根本ノンジのオリジナル脚本である。

 物語は、平成生まれの主人公・米田結が成長と共に栄養士を目指し、高校卒業後は神戸の専門学校に入学。やがて食の知識と持ち前の明るさで現代社会が抱える問題に立ち向かう姿が描かれている。

 そんな結との運命の相手となったのが佐野勇斗演じる翔也だ。ドラマ開始当初は福岡西高校に野球留学をしており、卒業後は、名門の社会人野球チームでプロ野球入りを目指していた。

 そんな彼がスランプに陥る時期に突入する。元々、速球を武器にしていた翔也だったが、制球のスランプに悩みながら投球練習に励んでいたところ、偶然「変化球」を投げるという奇跡を起こすのだ。しかし、当の本人は「何だ?今の球」と無自覚に投げた球が変化球とは分からずに驚く。

「変化球って偶然投げられるもの?」と視聴者も驚かせたこのシーン、よくよく考えてみると疑問が尽きない。

 翔也は幼少期からメジャーリーガーになるという目標を抱いて努力していた設定で、栃木から福岡に野球留学をするほどの野球エリート。おまけに高校時代は「福西のヨン様」の異名を持つほどのエースだった。

 そんな彼が、いくら速球が武器とはいえ、社会人チームに入るまで変化球を一度も投げたことがなかった、というのはいかがなものだろうか。これまでのコーチや監督は彼に何も指導しなかったのか? そもそもの投球フォームに問題があったのでは?など、野球好きな人ほど首をひねるシーンとなってしまった。

 ちなみに、翔也を演じる佐野はソフトボールの経験はあるものの野球は未経験。野球とソフトボールでは投球方法が違うため撮影に入る2か月前から投球の練習をしていたという。最終的には120km/hまで出せるようになったのだから驚きだ。

 社会人野球チームのエース・澤田を演じた関口メンディーは野球経験者。要所でツッコミどころはありつつも、2人が実際に投球するシーンは非常に見応えのあるシーンになっていた。

 残念ながら翔也は後に肩を壊してプロへの夢は絶たれてしまったが、後に結との間に誕生した娘・花が父の野球ノートを見て、自分が父親の父親の夢の続きを叶えようとプロのサッカー選手を目指すという展開が待っている。途中離脱せずについてきた視聴者も、朝からグッときたのではないだろうか。

(文・阿部早苗)

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【了】

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