日本映画史上もっとも面白い「創作」をテーマにした作品は?(2)面白すぎる…脚本改変の悲劇をコメディに昇華
作品を生み出すプロセスと職人の情熱が描かれる映画は、まるで社会見学。普段は何気なく見ている作品が、実は気が遠くなるような作業と努力と工夫によって生まれている。それを知れば、世界はもっと愛おしくなり、自分も何か作りたくなる。今回は、様々なジャンルの「創造の現場」をテーマにしたモノづくり映画を5本ご紹介。第2回。(文・田中稲)
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「声と音」で世界を作る!ラジオドラマの現場
『ラヂオの時間』(1997)
監督・脚本:三谷幸喜
キャスト:唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦(当時)、井上順、戸田恵子、梶原善、並樹史朗、奥貫薫、小野武彦、藤村俊二、布施明、近藤芳正
【作品内容】
ラジオドラマ脚本が採用された主婦みやこ(鈴木京香)。プロデューサーの牛島龍彦(西村まさ彦)にもてなされ、スタジオ収録に立ち会うも、演者のわがまま、業界の事情によって、シナリオが変えられていき…。
【注目ポイント】
三谷幸喜監督が初めて書いた連続ドラマ『振り返れば奴がいる』(1993、フジテレビ系)の脚本が、知らない間に書き換えられていた、という実体験をもとに書かれている。
そのドタバタはもちろん面白いが、一番の見どころは、声と音だけで、物語と風景を、聴き手に届ける工夫を欠かさない、プロフェッショナルの仕事だ。
声優陣を演じる俳優も豪華。『アンパンマン』で名を馳せている戸田恵子や、『あしたのジョー』で力石徹役を演じた細川俊之の声優ぶりが、ドタバタつきで堪能できる。
彼らのワガママで空いてしまう「間」や「変更」を、芸達者の井上順がアドリブつなぎ、藤村俊二演じる伝説の音効が埋めるシーンは、感動&ワクワク!
声優たちのワガママや思い付きで、右往左往した脚本の設定が、熱海から宇宙までぶっとび、無事成立するのも、声と音だけのラジオドラマならでは。映像がないのは、けっして物足りないことではない。
チームワークとアイデアとアドリブ力があれば、素晴らしいものが生まれるのだ。想像力は無限大!
(文・田中稲)
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