ファンがっかり…製作中止になった幻の日本映画は?(1)なぜ頓挫…? 立ち消えになった空前絶後の傑作

text by 阿部早苗

映画が観客の元に届けられるまで、長い時間と工程を要する。しかし、その途中で制作が中止になってしまった“幻の映画”があることをご存知だろうか。それらは、制作発表されたにも関わらず、さまざまな理由で今も眠っている…。そこで今回は、制作中止になった邦画を5本セレクトして、その理由とともにご紹介する。第1回。(文・阿部早苗)

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【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

社運を賭けたプロジェクトがまさかの沈没

『日本沈没1999』

大森一樹【Getty Images】
大森一樹【Getty Images】

監督:大森一樹
脚本:大森一樹
原作:小松左京

【注目ポイント】

「空前の大ベストセラー」と評されている小説家・小松左京の代表作『日本沈没』(1973)。これまで映画、ドラマ、アニメなど様々な形で映像化された。特に映画版は、原作に忠実な内容の1973年版と原作をベースに大胆にアレンジした2006年版があり、海外でも公開されるなど大ヒットを記録している。

 映像化される度に、話題となる『日本沈没』には、2000年に公開を予定していた幻の映画『日本沈没1999』があるのをご存じだろうか。

 松竹が2000年の正月映画として1998年に製作を発表。この時に登壇したのは原作者の小松左京と監督・脚本を担当する大森一樹だ。1995年の阪神・淡路大震災で被災した大森監督と小松左京は、その経験を基に映画製作を構想していた。

 若者たちのボランティア活動や、当時普及し始めたインターネットの可能性を物語に盛り込もうと意欲を見せており、小松も若い世代の描写に大きな期待を寄せていたという。

 総製作費12億円、興行収入30億円を目指す大型プロジェクトとして計画されていたが、当時業績が低迷していた松竹は資金の確保ができず、結果的に製作は頓挫。この壮大なプロジェクトは日の目を見ることはなかった。

(文・阿部早苗)

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