史上最高のラブコメ映画は? 幸せな気分になれる名作(3)笑って泣ける…重いテーマを喜劇に昇華した傑作は?

text by 小室新一

時に人生を変えてしまうのが恋であり、愛である…。カッコ悪くて滑稽で、苦しくてもなぜか止められない。しかしそれが面白い。恋愛映画は誰かの人生の一番面白い瞬間を切り取った指南書だ。そこで今回は、史上最高のラブコメ洋画を5本セレクトしてご紹介する。第3回。(文・小室新一)

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一途な男の究極の愛

『50回目のファーストキス』(2004)

アダム・サンドラー
アダム・サンドラー【Getty Images】

監督:ピーター・シーガル
脚本:ジョージ・ウィング
出演:アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア

【作品内容】

 交通事故の影響で、短期記憶障害という「前日の記憶を忘れてしまう」ルーシー(ドリュー・バリモア)。水族館で獣医として働くプレイボーイのヘンリー(アダム・サンドラー)は、カフェで出会ったルーシーに一目ぼれする。

 毎日のように、愛を伝えてくれるヘンリーの優しさに毎日恋をするが、ルーシーは自分の病気が彼に迷惑をかけていると思い、距離をとってしまう。

【注目ポイント】

 ピーター・シーガルがメガホンをとり、『パンチドランク・ラブ』(2002)のアダム・サンドラーと『チャーリーズ・エンジェル』(1976)のドリュー・バリモアの共演作。二人は、『ウェディング・シンガー』(1998)以来の共演となっており、呼吸はぴったりである。
 
 ハワイを舞台にしており、劇中の装飾や音楽などの雰囲気は観る者を心を明るくしてくれる。アメリカンジョークも多いが、下品なものではなく見やすくて、後味の良さが特徴だ。

 ヘンリーのまっすぐな愛情は、ルーシーだけでなく、その周りの人へも伝わり、登場人物が皆、幸せになる展開に心が救われた人も多いのではないだろうか。愛されることの喜びを感じることができる作品となっている。

 記憶障害というテーマは重く、病気と戦うルーシーの葛藤や彼女に忘れられてしまうヘンリーのつらさは、想像しがたいものがあるが、それを見事にコメディに落とし込んでいる。

 実は、ルーシーのモデルになった人は実在する人物である。実際のエピソードも使われているというから驚きだ。

 2018年には長澤まさみと山田孝之で日本版リメイクも制作されており、そちらも好評を博した。どちらもハワイで撮影されており、この作品を観ているとハワイを訪れたくなる。

(文・小室新一)

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【了】

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