ファンがっかり…製作中止になった幻の日本映画は?(2)突然のキャンセルにSNS激震…違和感の正体は?

text by 阿部早苗

映画が観客の元に届けられるまで、長い時間と工程を要する。しかし、その途中で制作が中止になってしまった“幻の映画”があることをご存知だろうか。それらは、制作発表されたにも関わらず、さまざまな理由で今も眠っている…。そこで今回は、制作中止になった邦画を5本セレクトして、その理由とともにご紹介する。第2回。(文・阿部早苗)

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突然の製作中止にファン悲鳴

『恋に落ちた家』

山下智久
山下智久【Getty Images】

出演:山下智久

【注目ポイント】

 2021年に製作が発表された山下智久主演のNetflix映画『恋に落ちた家』は、韓国で大ヒットを記録した映画『建築学概論』の日本リメイク版。オリジナルは韓国恋愛映画として歴代1位の興行成績を誇る名作である。

『建築学概論』は、建築家として働く男性が、大学時代の初恋相手から仕事の依頼を受けたことをきっかけに、過去と現在を行き来しながら現在進行中の家づくりと、初恋の記憶が交錯する物語。リメイク版では舞台を日本、南アルプスと富士山を望む絶景の地・西伊豆町に設定。全世界同時配信が予定されていた。

 山下にとって約6年ぶりのラブストーリー出演とあって、「嬉しすぎるよ~」「みんな待ってたよ」とSNSはファンの歓喜の声で溢れかえったが、事態は一変する。2022年に突然製作中止が発表されたのだ。

 Netflixは、全ての制作関係者がクリエイティブの方向性で満足できる作品の開発を目指してきたとした上で、オリジナル版に敬意を表することを優先して制作中止を決定したと説明している。

 ここからは筆者の臆測になるがオリジナル版『建築学概論』は韓国で400万人を動員し、日本でも多くのファンがいる作品だ。『建築学概論』(英題『Architecture 101』)というタイトルには物語のテーマはもちろん、初めて主人公たちが出会った講義であり、出発点でもあり、登場人物の心情が巧みに込められている。ゆえに、作品の本質を感じられない邦題には少々違和感があった。

 “オリジナル版に敬意を表することを優先した”という制作中止の理由を野暮を承知で言い換えると、原作と同等のクオリティの作品を制作するのが難しいと判断したということだろう。それが英断だったのか、杞憂に過ぎなかったのか。今では知る由もない。

(文・阿部早苗)

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【了】

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