史上もっとも赤字を出した“爆死映画”は? 呪われた問題作(3)ギャグが空回り…収益は製作費のたった1割
世の中には、大きな期待をかけて作られたにも関わらず、観客に見放され、製作会社に多額の損害を与えることになった不運な映画がある。そこで今回は、大赤字を出してしまった海外映画を5本セレクト。内容を紹介しつつ、赤字を叩き出した原因を考察する。第3回。(文・編集部)
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ハリウッドにおける失敗作の代表例
『プルート・ナッシュ』(2002)
監督:ロン・アンダーウッド
脚本:ニール・カスバート
出演:エディ・マーフィ、ランディ・クエイド、ロザリオ・ドーソン、ジョー・パントリアーノ、ジェイ・モーア、ルイス・ガスマン、ジェームズ・レブホーン、ピーター・ボイル、バート・ヤング、ミゲル・ヌネズ・Jr、パム・グリア、ジョン・クリーズ、アレック・ボールドウィン
【作品内容】
2087年、月面に築かれたドーム都市リトル・アメリカで人気クラブを経営する男・プルート(エディ・マーフィ)。彼の店は連日大盛況で、月でも屈指の人気スポットとなっていた。
その繁盛ぶりに目をつけたカジノ王レックスは、クラブの買収を持ちかけるが、プルートはきっぱりと拒否。するとその直後から、彼の店だけでなく命まで狙われる事態に発展していく。
【注目ポイント】
『星の王子ニューヨークへ行く』(1988)や『ビバリーヒルズ・コップ』(1987)などに出演し、当時、人気絶頂を極めていたエディ・マーフィが主演を務め、監督は『トレマーズ』(1990)などで知られるロン・アンダーウッド。共演にロザリオ・ドーソン、ランディ・クエイド、ジョー・パントリアーノら豪華俳優陣が名を連ねた作品。
物語の舞台は月面に建設された未来の都市。エディ・マーフィ演じる元犯罪者のプルート・ナッシュが、ナイトクラブを経営する中、陰謀に巻き込まれていく…というサスペンス色の強い設定とSF、さらにはアクションとコメディの要素も盛り込まれている。最新のCGを駆使した視覚効果や、月面都市のビジュアルが注目された。
製作にあたり、1億ドルという巨額が投じられたが、結果は大惨事に終わる。個人的な感想として、てんこ盛りのストーリーはどこか冗長でエディ・マーフィの持ち味であるギャグも冴えない。月面が舞台にもかかわらず、SFとしてもコメディとしても中途半端な印象は否めない。
全世界での興行収入はわずか710万ドル(約10億6000万円)。収益はなんと製作費の1割に満たなかった。その結果、ハリウッドにおける「興行的に失敗した映画の代表例」という不名誉な称号を得ることになった。
とはいえ、一部のファンからは、その独特のB級感やレトロなSFの雰囲気が評価されているのも事実。一度偏見を捨てて観てみると、新たな発見があるかもしれない。
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