史上もっとも偉大な映画シリーズは? 進化し続ける傑作(3)4本全部が素晴らしい…映画史に残る感動作は?

text by 阿部早苗

映画シリーズには、作品が重ねられるごとその魅力が深まっていくものがある。新たなキャラクターの登場、進化するストーリー展開、そして時を経ても色褪せない感動…。今回は、どの作品も見逃せない、シリーズ全体の評価が高い洋画を5本セレクトして紹介する。第3回。(文・阿部早苗)

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『トイ・ストーリー』(1995~)

映画『トイ・ストーリー』でお馴染みウッディとバズ・ライトイヤー
映画『トイ・ストーリー』でお馴染みウッディとバズ・ライトイヤー【Getty Images】

監督:ジョン・ラセター
脚本:ジョス・ウィードン、アンドリュー・スタントン、ジョエル・コーエン、アレック・ソコロウ
(原作: アンドリュー・スタントン、ジョー・ランフト、ジョン・ラセター、ピート・ドクター)
出演:トム・ハンクス、ティム・アレン

【作品内容】
 おもちゃたちが人間に知られずに動き出す世界を描く。持ち主アンディとの別れや新たな仲間との出会いを通して、ウッディやバズたちが絆や成長を深めていく友情ストーリー。

【注目ポイント】
 ディズニーとピクサーが制作した本作。世界初のフルCG長編アニメーションとして1995年に第1作が公開され、シリーズは現在までに4作が公開されている。

 実に30年近い歴史を誇る同シリーズ。カウボーイ人形のウッディと宇宙ヒーローのバズ・ライトイヤーを中心に、持ち主アンディとの別れや新しい仲間との出会いを通して紡がれるハートフルな冒険譚は、子どものみならず大人も魅了する。

 第1作目では、ウッディとバズというまったく性格の異なる二体の玩具をフィーチャー。対立を繰り返すウッディとバズが次第に友情を育んでいく様子をユーモラスかつ力強いタッチで描いている。一方、ウッディが“自分は誰のために存在しているのか”という哲学的な問いに向き合う姿が描かれる第2作目は、1作目とは異なるアプローチでキャラクターの内面を掘り下げ、シリーズの世界観をより深化させることに成功した。

 そして第3作目では、子どもの成長に伴う”別れ”がテーマとなり、大人も涙するほどの深い感動を与えた。さらに第4作では、ウッディ自身の人生の意味を見つめ直し、”誰かの持ち物”であることから解放される…といった哲学的なテーマが再び採用された。

 個性豊かなおもちゃたちの友情と成長を軸に描き、笑いと感動の絶妙なバランスで観る者の心を掴む本作。シリーズ全体を通じて言えるのは、おもちゃと持ち主それぞれが変化を受け入れる勇気が描かれているという点だろう。

 時の流れとともに別れや出会いを通して成長していく姿は、観る者の心を強く打つ。『トイ・ストーリー』シリーズはこれからも多くのファンを獲得していくだろう。

(文・阿部早苗)

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【了】

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