史上最恐の「日本のヤバい村」映画は? おぞましい怪作(4)自分とそっくりな女が心霊動画に…スリル満点の傑作
日本映画には、村を舞台に、見過ごされがちな社会の不正や陰湿な風習、閉鎖的なコミュニティが引き起こす恐怖を描き出した「村系ホラー」というジャンルの作品がある。今回は、そんな「ヤバい村」を舞台にした映画をセレクト。異質な空間に潜む人間ドラマを紐解きながら、5本紹介する。第4回。(文・阿部早苗)
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過去の忌まわしい儀式が生んだ悲劇の連鎖
『牛首村』(2022)
監督:清水崇
脚本:保坂大輔、清水崇
出演者:Kōki,、萩原利久、高橋文哉、芋生悠、大谷凜香、莉子、松尾諭、堀内敬子、田中直樹(ココリコ)、麿赤兒
【作品内容】
主人公の奏音(Kōki,)は、自分にそっくりな女子高生が牛首マスクを被せられた心霊動画を見て衝撃を受ける。その後、様々な異変が起きていた奏音は動画の少女に会うため撮影地・坪野鉱泉へ向かうが…。
【注目ポイント】
モデルのKōki,が映画初主演を務め、清水崇監督による『犬鳴村』(2020)『樹海村』(2021)に続く「恐怖の村シリーズ」第3弾。富山県に実在する心霊スポット「坪野鉱泉」を舞台にした作品である。
主人公の女子高生・雨宮奏音(Kōki,)は、心霊動画で自分とそっくりな少女を見つけ彼女を探すために坪野鉱泉へと向かう。そこで奏音は、亡くなったと聞かされていた母親と遭遇。自身が双子であること、心霊動画の配信中に行方不明となった女子高生が片割れの妹・詩音だったということを聞かされる。さらに村に伝わる忌まわしい因習があることを知る。
この因習というのが、双子の片割れを「村の神に返す」というものだ。かつて、困窮した村で生まれた双子は、村人たちから『牛の子』と呼ばれ、忌み嫌われる存在だった。そのため7歳になった双子のうち片方に牛の首を模した面を被せ、深い穴へと突き落として餓死させるという残酷な儀式が行われていた。
奏音の祖母も、村の風習に従い、幼い娘を手放していた。詩音に降りかかっていたのは、犠牲になった祖母の娘の怨念であった。双子を疎んじた風習と、その犠牲者の怨念が負のスパイラルとなって畳みかけられる展開はなんとも痛切きわまりなく、ホラー映画ではあるものの、心がギュっと締め付けられるような気持ちにさせられる作品だ。
(文・阿部早苗)
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【了】