史上最高のラブコメ映画は? 幸せな気分になれる名作(5)目利きも唸る圧倒的面白さ…王道にして究極の傑作は?

text by 小室新一

時に人生を変えてしまうのが恋であり、愛である…。カッコ悪くて滑稽で、苦しくてもなぜか止められない。しかしそれが面白い。恋愛映画は誰かの人生の一番面白い瞬間を切り取った指南書だ。そこで今回は、史上最高のラブコメ洋画を5本セレクトしてご紹介する。第5回。(文・小室新一)

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史上最高のロマンス映画の1本

『アパートの鍵貸します』(1960)

映画「アパートの鍵貸します」
映画「アパートの鍵貸します」【Getty Images】

監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド
出演:ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ

【作品内容】

 出世のために、自分の部屋を上司たちの情事のために貸し出しているバド(ジャック・レモン)。彼は、会社のビルのエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)に恋心を持っていた。

 ある日、バドは人事部長に部屋を貸したが、その部屋にいたのはフランだった。彼は、このまま出世のために過ごすのか、それとも自分の恋のために生きるのか…。

【注目ポイント】

 数多くの名作コメディを世に放ってきた巨匠ビリー・ワイルダーの代表作の1本。主要キャストは、『お熱いものがお好き』(1959)からビリー・ワイルダー作品の常連となったジャック・レモンと、アルフレッド・ヒッチコック監督の『ハリーの災難』(1955)でスクリーンデビューを果たしたシャーリー・マクレーン。

 作品の着想は、当時のハリウッドで話題になった女優の不倫騒動を基にしており、皮肉なユーモアが随所に散りばめられている。

 ビリー・ワイルダー監督らしいシニカルな要素とロマンスが見事にはまっている。企画の段階から、主人公をジャック・レモンに演じてほしいと、あてがきで書き上げた脚本でもあり、レモンの可笑しみと哀愁が入り混じった演技がなんとも素晴らしい。また、シャーリー・マクレーンの笑顔に癒されたという方も多いだろう。

 批評家からも評価が高く、アメリカ最大の映画レビューサイト・Rotten Tomatoesの評価は90%を超えている。

 美術や小道具などの細部にもこだわりが詰まっており、遠近法を使ったオフィスの作りこみも見事なので、注目してほしい。また、この作品をフェイバリットに挙げる業界関係者は多く、テニスラケットを使用したパスタの湯切りは日本のドラマ等でもオマージュされている。

 史上最高のロマンス映画として本作の名をあげられることも多い本作。主要キャスト・スタッフが再結成した『あなただけ今晩は』(1963)も名作である。

(文・小室新一)

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【了】

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