実は低予算だった大ヒット日本映画は?(5)300万のクオリティじゃない…世界が驚いた衝撃のデビュー作は?

text by 編集部

映画製作には莫大な費用が掛かる。しかし、人の心を掴む作品は必ずしもお金が掛かっているわけではない。今回は、低予算にも関わらず、製作費を上回る興行収入を叩き出し、多方面から高く評価された日本映画を5本セレクト。作品の魅力を解説する。第5回。(文・編集部)

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国内外の映画祭で高評価

『メランコリック』(2018)

田中征爾
田中征爾監督 写真:武馬怜子

監督:田中征爾
キャスト:皆川暢二、磯崎義知、吉田芽吹、羽田真、矢田政伸、浜谷康幸

【作品内容】

 名門大卒ながら冴えない日々を送る鍋岡和彦は、銭湯「松の湯」で同級生の百合と再会し、同窓会を機にアルバイトを始める。だが、深夜の松の湯で殺人が行われていると知り、同僚の松本が関与している事実も徐々に明らかになっていく。

【注目ポイント】

 空気階段・水川かたまり初主演『死に損なった男』(2025)を手がけた田中征爾監督の長編映画デビュー作である。イタリアの映画祭ではホワイト・マルベリー賞、東京国際映画祭では日本映画スプラッシュ部門で監督賞を受賞している。

 名門大学を卒業しながらも冴えない日々を送る主人公の和彦は、近所の銭湯で高校時代の同級生・百合と再会し、同窓会を機にアルバイトを始める。だが、深夜の銭湯で殺人が行われていると知り、同僚の松本が関与している事実が徐々に明らかになっていく。

 約300万という限られた予算で制作された本作。撮影は、田中監督が平日はIT企業で働いていたため、金曜の深夜から日曜までの5週間にわたって行われたという。また、主要なロケ地は千葉県に実在する銭湯で、深夜の撮影を直接交渉することによって実現したという。

 さらに、主演の皆川暢二はプロデューサーも兼任。他のキャストやスタッフも複数の役割を担うなど効率的な制作体制を構築し、低予算ながらも国内外の映画祭で高い評価を得ることに成功した。

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【了】

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