大河ドラマ史上、最も視聴者をイライラさせたキャラは?(4)笑いの裏に狂気が滲む…視聴者をゾッとさせた俳優
偉人たちの生涯を描く大河ドラマは、主人公を取り巻く登場人物たちに注目するのも醍醐味の一つだ。しかし、物語が面白くなればなるほど複雑化する人間関係は、時に視聴者をヤキモキさせてしまう…。そこで今回は、大河ドラマ史上、最も視聴者をイライラさせたキャラを5人セレクトしてご紹介する。第4回。(文・編集部)
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豊臣秀吉(ムロツヨシ)『どうする家康』
2023年の大河ドラマ『どうする家康』で、徳川家康(松本潤)の最大のライバルとして登場したのが、ムロツヨシ演じる豊臣秀吉である。
貧しい農民の出ながら、織田信長(岡田准一)の草履取りから身を起こし、持ち前の知恵と人たらしの才能で瞬く間に頭角を現し、天下人にまで上り詰めた秀吉。その底知れぬ野心と、時に見せる人間味あふれる言動が視聴者の心をとらえた一方で、家康を翻弄する狡猾さや、晩年に見せた狂気は、見る者に不気味な恐怖すら抱かせた。
ムロは、野心をあからさまに剥き出しにしながらも、愛嬌や軽妙さを織り交ぜることで、複雑な秀吉像を立体的に演じきった。信長亡き後、家康との駆け引きが本格化する中、天下統一への執念は強烈で、時に“怖さ”すら感じさせる場面があった。
なかでも、小牧・長久手の戦い後、家康が勝利したにもかかわらず、「かえって良かったわ。言うこときかんやつがおらんくなった」と冷然と放つセリフは、秀吉の傲慢なプライドや、自己の都合で事実をねじ曲げる性質を象徴する名場面であり、ムロの怪演がその異様さを際立たせていた。
さらに晩年の秀吉は、側室・茶々(北川景子)への異常な執着や、無謀な唐入り(朝鮮出兵)を強行するなど、狂気に満ちた姿を露わにしていく。だが一方で、彼には明るく人懐っこく、身分の上下を問わず誰にでも分け隔てなく接する包容力もあり、その“陽”の部分が多くの人々を惹きつけた。
ムロツヨシのコミカルの演技は、まさにそうした秀吉の多面性――愛嬌と狂気、温かさと冷酷さを行き来する人物像――を際立たせる重要な要素となり、視聴者の記憶に残る圧巻の秀吉像を築き上げた。
(文・編集部)
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