史上最も赤字を出した“爆死映画”は? 呪われた問題作(5)客が入らなくて日本公開中止…興行的惨敗の原因は?

text by 編集部

世の中には、大きな期待をかけて作られたにも関わらず、観客に見放され、製作会社に多額の損害を与えることになった不運な映画がある。そこで今回は、大赤字を出してしまった海外映画を5本セレクト。内容を紹介しつつ、赤字を叩き出した原因を考察する。第5回。(文・編集部)

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強力な競合作品の同時期公開で惨敗

『シンドバッド 7つの海の伝説』

ブラッド・ピット
ブラッド・ピット【Getty Images】

監督:ティム・ジョンソン
脚本:ジョン・ローガン
出演:ブラッド・ピット、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ミシェル・ファイファー、ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイスバート、アドリアーノ・ジャンニーニ、ティモシー・ウェスト

【作品内容】

 カオスの女神エリス(ミシェル・ファイファー)が「魔法の書」を奪ったことにより罪を着せられたシンドバッド(ブラッド・ピット)は、王国の敵として追われる身となってしまう。

 そんな彼を信じる王子プロテウス(ジョセフ・ファインズ)が身代わりとなり、シンドバッドは10日間の猶予を与えられ書を取り戻す旅へ出る。

【作品内容】

 ブラッド・ピットが主人公・シンドバッドの声優を務め、2003年に公開された映画『シンドバッド 7つの海の伝説』は、ドリームワークス製作によるアドベンチャーアニメ映画。監督はパトリック・ギルモアとティム・ジョンソン、脚本は『アビエイター』や『ラスト サムライ』で知られるジョン・ローガンが担当した。

 本作にとって最大の話題となったのがブラッド・ピットをはじめとする声優を務めた豪華キャストの起用だ。キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョセフ・ファインズ、ミシェル・ファイファーと、とにかく豪華である。さらに、古典の名作『アラビアンナイト』に登場するシンドバッドの冒険を新しい解釈でアニメーション化するという企画のもと、ドリームワークスが得意とする2Dと3Dアニメを融合させた作りになっており、同社肝煎りの作品であった。

 しかし、いざ公開を迎えると、苦い結果が待ち受けていた。全世界で約8000万ドルを稼いだものの、キャスティングのギャラと宣伝費などを含めると最終的には1億2500万ドル以上の赤字を叩き出してしまったのだ。

 作品の評価は総じて芳しくないものの、一定の水準にはあった。ではなぜ大赤字となったのか。要因として考えられるのは、ピクサーアニメーション『ファインディング・ニモ』という、強力な競合作品が同時期に公開されていたことといえるだろう。本作の興行的失敗は、ドリームワークスが、2Dアニメーションの制作から撤退する流れを作った。

 ちなみに、本国アメリカでの興行的失敗を受けて、日本では劇場未公開、ビデオスルーという憂き目を見た。

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【了】

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