最も面白い宮藤官九郎の脚本ドラマは? TV史に残る名作(3)大人になったら犯人を殺そう…前代未聞ミステリー

text by 苫とり子

2024年放送のドラマ『不適切にもほどがある!』『新宿野戦病院』で第33回橋田賞を受賞したことで話題の宮藤官九郎。これまでも数々のヒット作を手がけてきた。いつ見ても笑えて泣ける、そしていつまでも色褪せない作品を生み出している。そこで今回は、宮藤官九郎が脚本を務めたドラマを5本セレクトしてご紹介する。第3回。(文・苫とり子)

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シリアス×コメディが融合した唯一無二の会話劇

『流星の絆』(2008)

二宮和也
二宮和也【Getty Images】

脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、石井康晴
原作:東野圭吾『流星の絆』
出演:二宮和也、錦戸亮、戸田恵梨香、要潤、尾美としのり、設楽統、桐谷健太、麻生祐未、国広富之、齋藤隆成、嘉数一星、熊田聖亜、森下愛子、中島美嘉、柄本明、りょう、寺島進、三浦友和

【注目ポイント】

 幼い頃に両親を何者かに殺された3人の兄妹が大人になり、その犯人を探すミステリーで、原作は東野圭吾の同名小説。

 2008年10月期にTBS系列で放送され、20年近くが経った今も好きなドラマランキングなどに必ずと言っていいほど入ってくる名作だ。ミステリーといえども、ひと癖もふた癖もあるキャラクターとクドカンらしい軽妙な会話劇でコメディテイストに仕上がっている。

 キャストも豪華だ。カレー屋で働くしっかり者の長男・功一を二宮和也、フリーターで楽観的な次男の泰輔を錦戸亮、兄たちに愛されて育った素直な末っ子の静奈を戸田恵梨香が演じている。他にも中島美嘉、要潤、三浦友和、柄本明、尾美としのりといった出演陣が賑やかに色を添えた。

 メインは「大人になったら犯人捜して、3人でぶっ殺そう」と幼い頃に誓った兄妹たちの復讐劇だが、本作はそれだけにとどまらないのが魅力。前半は静奈が資格商法詐欺に騙されたことをきっかけに3人が詐欺グループを結成し、身近な悪い人間をターゲットに詐欺を仕掛けるコンゲームの要素が強い。功一が書いたシナリオをもとに、泰輔と静奈が様々なキャラクターになりきって悪人を成敗する姿は爽快だ。

 シリアスとコメディのバランスが絶妙で、後にも先にも見つからないミステリーとなっている。

(文・苫とり子)

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【了】

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