名作以上の傑作! 史上最高のリメイク日本映画(5)。世界も絶賛! 超名作をぶっ飛んだ発想でアレンジ
text by 寺島武志
今回はリメイクされ、成功を収めた日本映画をピックアップ。日本映画史に残る傑作映画に真っ向勝負を挑むべく制作された作品たち。随所に散りばめられた旧作へのリスペクトに胸がアツくなること必至。数多くあるリメイク作品の中から、決して観客に損をさせない珠玉の5本を紹介しよう。今回は第5回。(文・寺島武志)
●“金髪の座頭市”というぶっ飛んだ発想。世界のキタノのナンバーワンヒット作
『座頭市』(2003)
製作国:日本
監督・脚本:北野武
原作:子母沢寛
キャスト:ビートたけし、浅野忠信、柄本明、夏川結衣
【作品内容】
『座頭市』は、勝新太郎主演で1962年に映画化されて以来、1989年まで、26作品のシリーズが公開されている。前科者で盲目の侠客である座頭の市が、諸国を旅しながら驚異的な抜刀術で悪人と対峙する定番の時代劇だ。
1974年には、同じく勝主演でのテレビドラマも製作された。勝新太郎は、映画、テレビドラマともに監督業も兼任し、主演としてだけではなく作品の製作にも深く携わった。座頭市は勝のライフワークともいうべき作品であり、「座頭市=勝新」といった感さえある。
【注目ポイント】
この作品をリメイクできるのは“世界のキタノ”しかいなかったのではないだろうか。
本作は、オリジナル作品に大胆なアレンジを加え、殺陣などの時代劇の基本を押さえながらも、一方では金髪姿の座頭市に加え、下駄でのタップダンスや、コントなども盛り込み、単なる時代劇の枠を超えたエンターテインメント作品となっている。まるで「監督・北野武」と「芸人・ビートたけし」を行ったり来たりしているかのようだ。
勝新太郎が演じてきた座頭市へのオマージュの交えながらも、新たな時代劇の形を提示しており、結果として、2003年のヴェネチア国際映画祭では銀獅子賞を受賞。名実ともに「映画人・北野武」を確立した作品となった。
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