黒歴史確定!? ミュージシャンの演技が堪能できる映画(5)。カリスマ2人の大根演技…? 壮大なMVだと思えば…
才能あふれるミュージシャン。中には本業以外のジャンルに進出し、活躍する者もいれば、「よせばよかったのに」と叩かれる者もいる…。今回は大物ミュージシャンの演技が堪能できる映画作品を5本ピックアップ。ステージでは無類の存在感を放つカリスマ歌手の、意外な一面が楽しめる作品ばかりを揃えた。(文・ZAKKY)
hyde(L’Arc〜en〜Ciel)&Gackt
『MOON CHILD』(2003)
上映時間:119分
製作国:日本
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久、井土紀州、Gackt
キャスト:hyde、Gackt、ワン・リーホン
【作品内容】
時は2014年。日本経済は崩壊し、国民のほとんどは故郷を離れ、海外に移住している。アジアの片隅に位置する移民都市・マレッパは、バックボーンを異にする多種多様な人間が集まり、欲望と暴力が渦巻くカオスのような街だ。日本人移民の少年・ショウ(Gackt)は、仲間といるところを現地のマフィアに絡まれてしまう。絶体絶命のピンチに陥るショウだったが、そんな彼の前に現れたのは、謎の人物・ケイ(hyde)だった。
【注目ポイント】
ミュージシャン・タレントとして活躍するGacktと、90年代以降を代表する日本のロックバンド「L’Arc〜en〜Ciel」でボーカルを務めるhydeのダブル主演による、近未来SF。Gacktはストーリーの原案も手がけており、独自の耽美的、退廃的な世界観が全面的に押し出された作品となっている。監督は後に数々の大作を手がける、日本が誇る名匠・瀬々敬久。
近未来を舞台に、欲望と暴力がうずまくアジアの街で、若者がサバイブしていくという筋書きは、岩井俊二監督『スワロウテイル』を想起させる。ミュージシャンがメインキャストを演じているという点も、共通している(『スワロウテイル』にはシンガーソングライターのCHARAが出演している)。しかし、『スワロウテイル』におけるCHARAが、持ち前のキャラクターを活かした自然体の演技を披露しているのに対し、本作のhydeとGacktの演技からは、若干生硬さが感じられる。
また、2人のバックボーンを活かすにはもってこいの歌唱シーンはほとんどなく、その点も、CHARAの歌唱シーンが素晴らしい『スワロウテイル』よりも劣っていると感じてしまうポイントだ。とはいえ、全編を通じてhydeとGacktの洗練されたルックスは存分に堪能できるので、両者のファンであれば観て損はないだろう。巨額の資金をつぎ込んだ壮大なミュージックビデオだと思えば、上映時間119分はあっという間に過ぎ去るはずだ。
(文・ZAKKY)
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