ラスト5分で拍子抜けした映画は? 呆気ない結末の迷作(4)理解不能..巨匠渾身の一作はF評価、その理由は?
観る者の肩をすかしたり足をすくったりするような驚きのある作品は、刺激的で衝撃的な作品とはまた違った良さがある。今回は、まさかの結末が待っている作品の中から、特にラスト5分で拍子抜けするほどの意外な展開を迎える作品をセレクト。単にガッカリさせられるだけでなく、余韻やメッセージ性が強い傑作もご紹介する。第4回。(文・シモ(下嶋恵樹))
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難解でグロテスクな問題作
『マザー!』(2017)
上映時間:115分
原題:Mother!
製作国:アメリカ
監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本:ダーレン・アロノフスキー
キャスト:ジェニファー・ローレンス、ハビエル・バルデム、エド・ハリス、ミシェル・ファイファー
【あらすじ】
ある日、郊外の一軒家に住む夫婦のもとに、不審な男(エド・ハリス)が来訪。翌日にも見知らぬ訪問客が訪れ、妻(ジェニファー・ローレンス)は、不安と恐怖を募らせていく。
しかし、そんな妻とは裏腹に、夫(ハビエル・バルデム)は彼らを快く受け入れていく。
【注目ポイント】
『ブラック・スワン』(2010)で知られるダーレン・アロノフスキー監督作品。ジェニファー・ローレンスのほか、『ノーカントリー』でサイコパスキラーを演じたハビエル・バルデムが出演している。
あまりにも難解な内容のため、日本での劇場公開が見送りになった本作。訪問客が夫婦の家に住み着いたり、夫婦の息子が殺人事件を起こしたりといった展開は、海外の観客も理解が難しいようで、ランキングサイトのCinemaScoreでも最低評価のF評価を記録するなどいわくつきの作品として知られる。
そして、物語のラストでは、家に押しかけてきた人々が宗教的な儀式と称して2人が産んだ赤ん坊を食べてしまう。そしてこれに怒り狂った妻は屋敷に火をつけてその場にいる人を皆殺しにしてしまう。
本作は、なぜそこまで難解なのか。それは、本作の物語が全て聖書のメタファーになっている点が挙げられるだろう。現に、監督のアロノフスキーは、「この映画は一般の観客に向けて作られたわけではなく、ある特定の人たちへ向けたものである」と語っている。つまり本作は、制作当初から一般ウケを度外視した映画なのだ。
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【了】