え、こんな終わり!? ラストが物議を醸した日本映画(3)テーマは死体処理…賛否を呼んだ意外なオチとは?

text by 編集部

「えっ、そんな終わり方!?」——観終わった後に語らずにはいられない、衝撃やモヤモヤが残るラスト。今回は邦画の中でも、ラストシーンが賛否を呼び“物議を醸した”作品を5本厳選。驚きの展開や深読み必至の余韻まで、作品の魅力とそのラストの意味を紐解く。※映画のクライマックスについて言及があります。未見の方はご留意ください。第3回。(文・編集部)

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モヤモヤが残るあとしまつ…。

『大怪獣のあとしまつ』(2022)

山田涼介
山田涼介【Getty Images】

監督:三木聡
脚本:三木聡
出演:山田涼介、土屋太鳳、濱田岳、眞島秀和、ふせえり、六角精児、矢柴俊博、二階堂ふみ、染谷将太、有薗芳記、SUMIRE、笠兼三、MEGUMI、岩松了、田中要次、銀粉蝶、嶋田久作、笹野高史、松重豊、オダギリジョー、西田敏行

【作品内容】

 人類を恐怖に陥れた巨大怪獣が突如死亡する。国民が歓喜する中、死体は腐敗・膨張し続け、爆発の危機に陥る。そんな状況の中で処理を託されたのは、消息を絶っていた特務隊員・帯刀アラタ(山田涼介)だった。

【注目ポイント】

 これまで数多く制作されてきた特撮怪獣映画。しかし、巨大怪獣が倒された“その後”——つまり死体の処理にスポットを当てた作品は、『大怪獣のあとしまつ』(2022)をおいて他にないだろう。

 怪獣の造形を手がけたのは、『ゴジラ』シリーズなどで知られる若狭新一。特撮監督には、日本アカデミー賞の特殊映像技術賞を受賞した佛田洋が参加しており、特撮映画界の一流クリエイターが集結したことで、公開前から大きな注目を集めていた。

 作品全体には、国家的な緊急事態というシリアスな状況に対して、官僚たちの滑稽なやり取りや場違いな会議の空気など、ブラックユーモアが散りばめられている。怪獣の死体は時間とともに腐敗し、有毒ガスが発生。やがて爆発の危険すら出てくる中、観客の緊張は終盤まで高まり続ける。

 そして迎えるラストシーンでは、主人公・アラタ(山田涼介)が突如として巨人化。誰も処理できなかった怪獣の死体を、自らの手で処理するという予想外の展開へ。インパクトは絶大だったが、この“巨人オチ”は多くの観客の間で賛否を呼ぶこととなった。

 ギャグや下ネタが飛び交う軽妙な展開の一方で、ラストはアラタの失踪にまつわる真相と、その思いを背負った行動によって集約される。しかし、「だったらもっと早く対処してくれればよかったのでは?」という皮肉も含め、観客の間には割り切れない“モヤモヤ”が残ったことも事実だ。

 エンターテインメントと風刺、シリアスとギャグの間で揺れ動く本作は、まさに“あとしまつ”という言葉にふさわしい複雑な余韻を残す一本となった。

(文・編集部)

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