春ドラマで最も株を上げた女優は? 演技が最高だった宝石(4)主役を食う活躍も…若手屈指の演技派は?

text by 平良真咲

2025年の春ドラマも盛り上がっている。今回は、現在放送中のドラマに出演する女優をピックアップ。キャリア十分の実力派や新境地を開拓した若手の中から、今季、最も役者として株を上げた注目の女性俳優5人を選出し、作品の内容と共に、俳優の魅力を解説する。第4回。(文・平良真咲)

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富田望生『ダメマネ! ーダメなタレント、マネジメントしますー』(日本テレビ系)

富田望生
富田望生【Getty Images】

 毒舌の新人芸能マネージャーが崖っぷちタレントたちのために奔走する、人生リベンジコメディ『ダメマネ! ―ダメなタレント、マネジメントします―』(日本テレビ系)で、主人公の隅田川道子(川栄李奈)にスカウトされる後藤沙紀を演じたのが、富田望生だ。

 沙紀は俳優志望であるという意志を示しながらも、問いかけには小さな声でしか応じず、道子の提案するオーディションのほとんどを断る有様。しかし、これには理由があって、実は沙紀は吃音を抱えていた。

 ガ行を中心に発話が難しいという症状を持つ沙紀。道子とともに発声の特訓やスムーズにセリフを読む文節の区切り方の模索などを重ねて、着実に前進していったかに見えたが、気合を入れて臨んだオーディションは不合格。

 再び心を閉ざしてしまった沙紀に、道子は厳しい言葉も織り交ぜながら喝を入れる。一度は信頼し合ったはずの2人の本気の言い合いは、とても見応えがあった。

 本作は主演の川栄のほか、安田顕、千葉雄大、山田涼介らが名を連ね、どちらかといえばノリとテンポのよさが魅力。しかし、そこに加わる富田が、吃音にしっかり向き合い、寄り添った表現を見せたことで、映像に奥行きが生まれた。

 俳優としての1歩を踏み出したのちは、富田演じる沙紀もコメディに参加していく形となりそうではあるが、技巧派俳優ならではの存在感で、作品をぴりっと締めてくれることだろう。

(文・平良真咲)

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【了】

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