朝ドラで“主役を食った”女優は? スゴい演技で魅せた宝石(5)まさにハマり役…”当て書き”された女優とは?
1961年にスタートしたNHK連続テレビ小説、通称“朝ドラ”。月曜日から金曜日まで毎朝8時から放送され、通勤や通学前など、生活の一部となっている人もいるだろう。今回は、そんな朝ドラの中から、主役を食うほどの演技で存在感を放った女優5選をお届けする。第5回。(文・阿部早苗)
伊藤沙莉『ひよっこ』(2017)
有村架純がヒロインを務め、岡田惠和が脚本を担当したNHK連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK総合、2017年4月~9月末)。1964年の東京オリンピック開催目前から始まる物語は、茨城県北西部の山あいの村で育ったヒロイン・谷田部みね子が出稼ぎに行った父親の失踪をきっかけに集団就職で上京し、そこで様々な人達との出会いを通して成長していく姿を描いている。
そんなみね子の上京物語でひときわ目を引く芝居を披露していたのが伊藤沙莉だ。伊藤が演じた米子は、みね子の幼馴染・角谷三男(泉澤祐希)に想いを寄せる米屋の娘である。
伊藤は、一度聴いたら耳から離れない特徴的なハスキーボイスと豊かな表現力を駆使して、おてんばな人間味あふれるキャラクターを魅力的に演じきった。
上述したように米子は米屋の娘であるが、根からのパン好きであり、米子という名前を嫌い通称「さおり」と名乗るユニークなキャラクターであった。何かと騒動を起こすけれど憎めない。そんな役どころは伊藤のイメージにハマり視聴者の心を掴んだ。
元々は佐久間由衣演じる時子のオーディションに参加していたという伊藤。本人は台本を読んで「こんなの絶対に受からない」と思ったそうだが、オーディションに参加していた岡田惠和に気に入られ、その場で伊藤を当て書きした米子というキャラクターが誕生したという。
出演時間は短いながらも、ヒロイン有村架純と並ぶほどのインパクトを残したといえるだろう。本作がきっかけで伊藤のファンとなった人は少なくないはずだ。
その後、確実にキャリアを積み上げ2024年には朝ドラ『虎に翼』のヒロインに抜擢。第121回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で主演女優賞を受賞した伊藤。そんな彼女の快進撃は『ひよっこ』から始まったと言っても過言ではないだろう。
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