史上最高のバイオレンス映画は? 洋画の衝撃作(5)徹底的に”痛み”を描いたバイオレンス・サスペンス
暴力というものはいかなる理由があっても認められるものではない。しかし、どこか目を離せない禁断の果実的な魅力のあるモノであることも確かだ。今回は、激しい銃撃戦や容赦ないバイオレンスアクションシが光る作品を5本セレクトして紹介する。第5回。(文・村松健太郎)
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徹底的に痛みを描いたバイオレンス・サスペンス
映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005)
監督:デビッド・クローネンバーグ
原作:ジョン・ワグナー、ビンス・ロック
脚本:ジョシュ・オルソン
キャスト:ビゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート、アシュトン・ホームズ、ハイディ・ヘイズ
【作品内容】
1969年の長編デビュー以降『スキャナーズ』(1981)、『デッド・ゾーン』(1987)、『ザ・フライ』(1987)、『戦慄の絆』(1988)、『クラッシュ』(1997)と言った艶めかしさとバイオレスが共存する独特の世界観を築き続けているデヴィッド・クローネンバーグ監督の2005年の作品。同題のグラフィックノベルを原作にしている。主演は『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)でスターとなったヴィゴ・モーテンセン、共演にウィリアム・ハートやエド・ハリスといった名優が顔をそろえている。
片田舎でダイナーを営み妻と2人の子供と穏やかな日々を過ごしているトム。ある日、強盗に襲われたトムは驚くべき身のこなしで強盗を撃退、一躍話題の人となる。 しかし、このことがトムの過去を知る者たちを呼び寄せる。やがてフィラデルフィアのマフィアがトムの前に現れる。そして自分の過去を家族に知らせたトムは決着を付けるために単身マフィアの下へと向かう…。
【注目ポイント】
本作まではホラー的な人体破壊描写を描いてきたクローネンバーグ監督だが、今作では徹底して痛みの伝わる暴力を描き、素手からガンアクションまで相手をほぼ一撃で殺すための暴力が展開される。
クローネンバーグ監督とヴィゴ・モーテンセンはよほど気が合ったのかこれ以降も『イースタン・プロミス』(2008)、『危険なメソッド』(2012)、『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(2023)と言った作品でタッグを組んでいる。
これらの映画以外にも『時計じかけのオレンジ』(1972)や『マッドマックス2』(1981)、『スカーフェイス』(1984)と言ったカルトクラシック。『オールドボーイ』(2004)や『哀しき獣』(2012)、『ザ・レイド』(2012)といったアジア圏の秀作。さらにシリーズ化もされた『イコライザー』(2014)なども容赦のない描写が焼き付けられている。
(文・村松健太郎)
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【了】