”お蔵入り”の真相は…? 製作中止になった悲劇の海外映画(5)日本公開は急遽中止…配信ビジネスが生んだ悲劇
text by 阿部早苗
莫大な予算をかける映画ビジネスには、多くの夢と希望が詰まっているが、裏を返せばその分リスクも大きい。さらに大々的に制作発表されていたにも関わらず中止ともなれば、その理由が気になってしまうのが人間だ…。そこで今回は、制作中止になった洋画を5本セレクトして、その理由とともにご紹介する。第5回。(文・阿部早苗)
映画制作者と配信側の溝
『ウルフズ』の続編
監督:ジョン・ワッツ
出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット
【注目ポイント】
ジョン・ワッツが監督・脚本を務め、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが共演のアクション・コメディ映画『ウルフズ』(2024)。オーシャンズシリーズで共演した2人がタッグを組むということで公開前から話題となった作品だ。
しかし、2024年9月に日米で公開を予定していたものの日本公開は急遽中止に。アメリカでの公開も1週間限定。その後はApple TV+で独占配信という流れになった。
同作の続編も製作が計画されていたが最終的に中止に。その背景には監督のジョン・ワッツが、Appleによる期間限定上映後に配信といった戦略に強い不満を抱いており、また、事前説明もなく方針変更が知らされたのは正式発表の1週間前。それが信頼関係の崩壊につながったとされている。
この問題はAppleに限らず、近年の配信業界全体に見られる傾向でもある。実際、他の大手配信サービスでも同様の公開戦略によるトラブルが起きており、Netflix映画『ナイブズ・アウト』シリーズやAmazon『ロードハウス/孤独の街』(2024)も映画制作側と配信プラットフォームとの間に深まる溝が浮き彫りになっている。
続きが気になる作品だっただけに製作中止には「配給先変えてでもやって欲しい」と熱望の声が寄せられている。
(文・阿部早苗)
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