史上最も「脚本がスゴい」映画は? 識者が選ぶ名作(5)素晴らしい…100年後も語り継がれる完璧な映画とは?

世の中には名作と呼ばれる作品が多く存在する。そんな名作が生まれるには、もちろんキャスティングや俳優の演技力、監督の演出などあらゆる要素が組み合わさることで誕生するものだが、やはりその中でも脚本は命だ。今回は、素晴らしい脚本の映画を5本紹介。その凄さを徹底解明する。(文・ニコ・トスカーニ)

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『或る夜の出来事』(1934)

映画「或る夜の出来事」
映画「或る夜の出来事」【Getty Images】

監督:フランク・キャプラ
脚本:ロバート・リスキン
出演者:クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベール

【作品内容】

大富豪の娘エリー(クローデット・コルベール)は、父親に結婚を反対された事に怒り、父と乗っていた船から逃亡する。なんとかニューヨーク行きのバスに乗り込んだ彼女は、偶然席が隣り合わせとなった失業中の新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)と旅を共にすることとなる。道中、さまざまなトラブルに巻き込まれる2人だったが、互いに心惹かれ始めていきー。

【注目ポイント】

 スクリュー・ボール・コメディとツンデレの源流になったのがこの『或る夜の出来事』である。第一印象が最悪でいがみ合っていた男女が最後に結ばれる…というプロットをもつ、万人に受けるロマンチックなラブコメディだ。

 普遍的でいつの時代にも好まれる物語だろう。『或る夜の出来事』は1930年代のアメリカだが、仮に時代を100年後にしても100年前にしても大幅な設定変更無しで成り立つに違いない。

 シェイクスピアの『空騒ぎ』はツンデレの要素を含んだユニークなラブコメの古典だが、時代が新しい分『或る夜の出来事』の方がよりモダンである。ラブコメ映画であれば、『恋人たちの予感』(1989)や『ラブ・アクチュアリー』(2003)の脚本もお手本とすべき素晴らしい例だが、映画史的に重要な古典であり、良い意味で誰にも嫌われないタイプの物語である『或る夜の出来事』に軍配を上げたい。

(文・ニコ・トスカーニ)

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【了】

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