1990年代最高の洋画は? 映画史に燦然と輝く金字塔(3)公開時は客足がまばら…再評価された世界的名作は?
スティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスの出現によって、1980年にはハリウッド映画の娯楽性とクオリティがアップした。一方、90年代には多種多様な作品が登場。この時期のハリウッド映画に思い入れのある人は少なくないのではないか。今回は、1990年代を代表する洋画を5本厳選してご紹介する。第3回。(文・村松健太郎)
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時代を超えて語り継がれるマスターピース
『ショーシャンクの空に』(1995)
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
原作:スティーヴン・キング『刑務所のリタ・ヘイワース』
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントン、ウィリアム・サドラー、クランシー・ブラウン、ギル・ベローズ、ジェームズ・ホイットモア
【作品内容】
妻とその愛人を殺した疑いで終身刑となった銀行員のアンディ(ティム・ロビンス)は、免罪を訴えるも、劣悪なショーシャンク刑務所へ服役が決まる。
アンディは銀行員として働いてきた知識を活かし、刑務官の税務処理や資産運用を担うようになる。そうして20年の月日が流れ、事件の真相を知る青年と出会うが…。
【注目ポイント】
現代アメリカを代表するベストセラー作家スティーブン・キング。その中編小説「刑務所のリタ・ヘイワース」を原作に、フランク・ダラボン監督(脚本も兼任)が映画化したのが、1994年公開の『ショーシャンクの空に』である。主演はティム・ロビンス、共演にモーガン・フリーマンという実力派が顔を揃えた。
意外に思われるかもしれないが、本作は公開当時、興行的には苦戦を強いられた。大作がひしめく中で埋もれてしまい、当初の観客動員は伸び悩んだ。しかしながら、批評家からは絶賛され、アカデミー賞では作品賞をはじめとする7部門にノミネート。その後、ホームビデオ市場やテレビ放送を通じてじわじわと評価が広がり、今では“映画史に残る名作”として多くの映画ファンから支持を集める存在となっている。
物語は、若き銀行員アンディ(ティム・ロビンス)が、妻とその浮気相手を射殺した罪で終身刑となり、ショーシャンク刑務所に収監されるところから始まる。過酷な環境と孤独に耐えるなか、彼は“調達屋”として知られるレッド(モーガン・フリーマン)と親交を深め、持ち前の財務知識を生かして刑務官たちの信頼を得ていく。表面上は模範囚として振る舞うアンディだったが、その裏では、ある大胆な計画を胸に秘めていた――。
本作の成功により、フランク・ダラボンは再びスティーブン・キング原作の映画に取り組むことになる。1999年には、トム・ハンクス主演の『グリーンマイル』を監督し、こちらは批評面だけでなく興行的にも大成功を収め、感動的なヒューマンドラマとして、多くの観客の涙を誘った。
その流れを受けて、ダラボンが3度スティーブン・キング作品の映画化に挑んだのが、2007年の『ミスト』だ。しかし今作は、『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』で築いた“感動”の系譜をあえて裏切る、救いのないバッドエンディングで観客を震撼させた。
フランク・ダラボンとスティーブン・キング、この2人の組み合わせが生み出す映画は、予想を超える驚きと深い余韻を残す。そして『ショーシャンクの空に』は、その原点として今なお色あせることのない“希望”の物語であり続けている。
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