1990年代最高の洋画は? 映画史に燦然と輝く金字塔(4)公開前には爆死予想も…歴史を覆した稀代の大作は?
スティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスの出現によって、1980年にはハリウッド映画の娯楽性とクオリティがアップした。一方、90年代には多種多様な作品が登場。この時期のハリウッド映画に思い入れのある人は少なくないのではないか。今回は、1990年代を代表する洋画を5本厳選してご紹介する。第4回。(文・村松健太郎)
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90年代で最もヒットした映画史に残る名作
『タイタニック』(1997)
監督:ジェームズ・キャメロン
脚本:ジェームズ・キャメロン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、キャシー・ベイツ、フランシス・フィッシャー、ヴィクター・ガーバー、デビッド・ワーナー、ビル・パクストン、グロリア・スチュアート
【作品内容】
1912年、豪華客船・タイタニック号がイギリスからアメリカへ向けて処女航海に出発した。船に乗っていた画家志望の青年・ジャック(レオナルド。ディカプリオ)と貴族の娘・ローズ(ケイト・ウィンスレット)は運命的な出会いを果たし、次第に惹かれあっていく。
しかし、タイタニック号が氷山と衝突し、船は沈没への一途を辿る…。
【注目ポイント】
低予算の特撮作品でキャリアをスタートさせたジェームズ・キャメロン監督は、1984年の『ターミネーター』の成功によって一躍注目を集める存在となった。その後も『ランボー/怒りの脱出』(1985)の脚本や、『エイリアン2』(1986)の監督で実績を重ね、ハリウッドで最も勢いのあるクリエイターの1人となる。
90年代に入ると、満を持して製作した映画『ターミネーター2』(1991)が大ヒット。そして1997年、ついに発表されたのが映画史を塗り替える大作『タイタニック』である。
主演は、当時若手の注目株だったレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレット。2人はこの作品を機に一躍スターダムへと駆け上がり、その後ともにアカデミー賞俳優としてキャリアを築いていくことになる。
物語は、1912年に実際に起きたタイタニック号沈没事故をモチーフに、フィクションと史実を織り交ぜて展開される。舞台はイギリス・サウサンプトン。史上最大と謳われた豪華客船タイタニック号が、処女航海としてニューヨークへ向けて出港しようとしていた。上流階級の令嬢ローズは、母や婚約者と共に船に乗り込むが、形式的な結婚に気が進まず息苦しさを感じていた。
一方、貧しい画家志望の青年ジャックは、賭けに勝って三等船室のチケットを手に入れ、偶然にもその船に乗ることに。出会うはずのなかった2人は運命的に惹かれ合い、短くも鮮烈な恋を育む。
3時間を超える上映時間と、当時としては破格の製作費がかけられたことから、公開前には興行的リスクも懸念されていたが、蓋を開けてみれば世界中で大ヒットを記録。最終的に『タイタニック』は、当時の世界歴代興行収入の最高記録を打ち立てることとなった。
さらにアカデミー賞では、史上最多タイとなる14部門にノミネートされ、作品賞・監督賞・美術賞など主要部門を含む11部門で受賞。これは『風と共に去りぬ』(1952)や『ベン・ハー』(1960)、そして『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2004)と並ぶ歴代最多受賞記録でもある。
本作は、悲劇の中に描かれる純愛と、映像表現の革新性、そして映画というメディアが持つスケールの限界を押し広げた作品として、今なお語り継がれる名作である。
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【了】