有名映画シリーズの汚点…黒歴史となった残念な続編(4)豪華だけど微妙? ファンの評価が分かれた作品とは

text by 編集部

映画史において、名作シリーズなのに「なんでこうなった…?」とファンをガッカリさせた続編は少なからず存在する。期待が大きかったぶん、その落差も大きい…。今回は、ファンの間で“黒歴史”扱いされがちな失敗続編5本をピックアップしてご紹介する。第4回。(文・編集部)

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『ゴッドファーザーPARTIII』(1990)

映画『ゴッドファーザーPART III』
映画『ゴッドファーザーPART III』【Getty Images】

監督:フランシス・フォード・コッポラ
キャスト:アル・パチーノ、ダイアン・キートン、タリア・シャイア

【作品内容】

 コルレオーネ・ファミリーのドン、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)が組織の事業を合法化し、血と暴力に彩られた裏社会からの決別を図る姿が描かれる。

【注目ポイント】

 映画史に名を刻む『ゴッドファーザー』シリーズ。第一作、第二作はアカデミー賞作品賞を受賞し、映画の金字塔と称されてきた。三作目の『ゴッドファーザー PART III』(1990)もアカデミー賞に8部門でノミネートされるなど一定の評価を受けたが、前2作と比べて賛否の分かれる作品となった。

 本作は、老いたマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)が家族の名誉と魂の救済を求め、犯罪組織からの引退と事業の合法化を目指す物語である。過去の罪と決別しようとするマイケルの姿は、シリーズの中でも特に贖罪と家族の絆が中心に描かれているといえる。しかし、そうしたテーマの深さにもかかわらず、いくつかの要因が作品の評価を曇らせた。

 まず問題視されたのはキャスティングである。マイケルの娘メアリー役に起用されたのは、監督フランシス・F・コッポラの実娘ソフィア・コッポラ。当初予定されていたウィノナ・ライダーが降板し、急遽代役となったが演技経験の乏しさから批判を浴びてしまう。

 さらに、脚本に十分な時間が与えられなかったことも影響しているといえるだろう。フランシス監督と原作者のマリオ・プーゾは6か月の準備期間を希望していたが、スタジオの都合上6週間で仕上げざるを得なかったという。

 とはいえ、本作には他の2作にはない魅力がある。マイケルの内面に焦点を当てたドラマは静かで重厚であり、オペラハウスでの悲劇的なクライマックスから孤独な死へと至るラストは、映画史に残るほど印象的だ。

 2020年には、フランシス監督が本来の構想に近づけて再編集した『ゴッドファーザー 最終章:マイケル・コルレオーネの最期』が発表され、物語の流れが洗練されることで、再評価の声も高まりつつある。

 本作は、決して悪い映画ではない。むしろ偉大すぎる前作の影で真価を見失われた作品といえるだろう。

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