有名映画シリーズの汚点…黒歴史となった残念な続編(5)スパイ映画のはずが… 恋に全振りした異色作

text by 編集部

映画史において、名作シリーズなのに「なんでこうなった…?」とファンをガッカリさせた続編は少なからず存在する。期待が大きかったぶん、その落差も大きい…。今回は、ファンの間で“黒歴史”扱いされがちな失敗続編5本をピックアップしてご紹介する。第5回。(文・編集部)

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『ミッションインポッシブル2』(2000)

トム・クルーズ
トム・クルーズ【Getty Images】

監督:ジョン・ウー
キャスト:トム・クルーズ、ダグレイ・スコット、タンディ・ニュートン

【作品内容】

 IMFの諜報員イーサン・ハント(トム・クルーズ)は、殺人ウイルスを奪った元同僚アンブローズ(ダグレイ・スコット)の阻止を命じられる。作戦の鍵となる女泥棒ナイア(タンディ・ニュートン)と接触するが、やがて彼女と恋に落ち、任務と感情の間で葛藤する。

【注目ポイント】

 最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(2025)が話題を集めている同シリーズ。毎回、高いクオリティと斬新なアクション演出で世界中の観客を魅了してきたが、その中で第2作『ミッション:インポッシブル2』(2000)は、シリーズの中でも賛否両論を呼んだ異色の作品として知られている。

 その主な理由はスパイアクションの核となるミッション要素が希薄になり、恋愛要素に重きが置かれすぎていた点にあるだろう。主人公イーサン・ハント(トム・クルーズ)と女泥棒ナイア・ホール(タンディ・ニュートン)の急速なロマンスが物語の軸となり、緊張感あるミッションの連続というシリーズ本来の醍醐味が後退してしまった。恋愛を前面に押し出したことで、シリーズ特有のサスペンス性や緻密な作戦展開が影を潜めてしまったのである。

 とはいえ、本作には評価すべき点もある。それは監督ジョン・ウーならではのスタイリッシュな映像演出だ。鳩が舞うスローモーション、銃撃戦、激しいバイクチェイスなど、監督の個性が随所に光るアクションシーンの数々はアクション映画としての見応えを十分に備えていた。

 まさに美学が全編にわたって貫かれたことで、他のシリーズ作とは一線を画す、唯一無二の異色作となったのは間違いない。

(文・編集部)

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【了】

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